【3285人分のデータから判明】外壁塗装の検討時期・季節とタイミングを解説
日本は四季折々、季節によって環境が変化する国です。
そのため外壁塗装にも季節ごとに向き不向きの時期があることも事実です。
地域によっても外壁塗装が向いていない季節があるため、季節要因を把握していないと思ったより工期が長くなったり、思わぬ事態を招きかねません。
そのため、外壁塗装を考えているという場合も、適したシーズンに依頼を出すことが後悔しない選択になるでしょう。
この記事でわかること
- 季節ごとのメリット・デメリット
- 外壁塗装を行うタイミングの目安
- 外壁塗装を先延ばしにすると起こること
外壁塗装のベストシーズンは春と秋
結論から先に言ってしまうと、外壁塗装のベストシーズンは春と秋です。
どちらも夏や冬の前という、寒暖差が大きく出る時期の手前である比較的過ごしやすい季節です。
気温や湿度が大きく変化する季節では、外壁に大きな影響を及ぼしてしまいます。
例えば、雨季が挟まる夏場においては湿気によるカビや雨によって塗装が剥がれてしまうといった問題が発生し、逆に空気の乾燥する冬場においてはひび割れが起きやすく、降雪地帯であれば雪による影響も存在します。
外壁塗装アドバイザー
嘉瀬のコメント
外壁塗装の季節ごとのメリット・デメリット
春と秋がベストなタイミングであると結論から解説しましたが、改めて季節ごとのメリットとデメリットについても解説していきましょう。
解説する前に言ってしまうと、「実際の所はいつでも良い」と言えます。
確かに季節ごとに多少の相性の差こそあれど、それこそ豪雨の中や豪雪の中で作業をするような極端な状況でもなければ、どの季節で外壁塗装を行っても大きな差は出ません。
しかし、差が全くないとも言えないため、ほんの少しでも長持ちさせたい・最適なタイミングで行いたいという方は、下記を参考にしていただけると後悔しない外壁塗装が行えるでしょう。
「春」と外壁塗装の相性
春は前述した通りベストシーズンの一つです。
理由としてはまず気温や湿度が安定しており、塗料が乾きやすく問題が起きづらいといった点が挙げられるでしょう。
塗装の関係上、完璧に乾くまでは気化した塗料を吸い込まないように窓を締め切って過ごしていただくことになりますが、春という季節であれば、窓を締め切っていても過ごしやすいでしょう。
しかし、春ならではのデメリットも存在します。そもそも繁忙期であるため、外壁塗装だけでなく様々な依頼も舞い込み、「予約が取りづらい」「工期が延びる」「価格が高くなりがち」といったものが挙げられます。
「夏」と外壁塗装の相性
夏場は外壁塗装に適していませんが、メリットも存在します。
気温が高いため、塗料が乾きやすいというのがそのメリットです。
しかしデメリットの方が多く、まず雨季の存在が挙げられます。
雨の降りやすい季節であるため、雨によって作業が分断されて工期が伸びてしまうことが多く、また炎天下で作業を行うため、作業員のモチベーション低下による作業効率の低さもデメリットの一つでしょう。
また前述の通り、乾くまでは換気ができないので窓を開けて過ごすことも出来なければ、一部の工程中はクーラーの使用が禁止される場合もあるため、熱中症の危険性もあります。
「秋」と外壁塗装の相性
秋は春同様に外壁塗装に適したシーズンです。
理由は概ね春と同様で、空気が乾燥し始めるため塗料が乾きやすく、気温や天候も安定しているので作業を滞りなく進めやすい時期であると言えます。
ただ、地域によっては台風が訪れるタイミングでもあるため、台風によって作業が数日から一週間程度中断されてしまう可能性があるのはデメリットでしょう。
「冬」と外壁塗装の相性
冬場はある意味1番地域差の大きい季節であると言えます。
メリットとしては、環境よりも閑散期であるため依頼をすぐに受けてもらいやすく、比較的安く済む可能性があることが挙げられます。
冬場で換気以外にわざわざ窓を開けることもないため、窓を締め切って過ごしていても苦にならないでしょう。
しかし、雪は勿論ですが気温が5℃以下では外壁塗装の作業が行えないため、北の地域に住んでいる方や、冬場に一気に温度が下がる地域に住んでいる方は中々作業が進まない場合があります。
当然ながら年末年始にはお休みが入るため、依頼中であっても年末年始は作業が中断されてしまいます。
以上の点から、住んでいる場所や時期によって塗装作業自体に影響があるため、季節で決めるよりも外壁塗装にどのような影響があるかを考えたうえで、逆に「どのタイミングが適していないか」を考えると良いでしょう。
3285人から聞いた!外壁塗装の検討をし始めた時期・タイミング
そもそも外壁塗装を行うタイミングや状態とはいつなのかといった点についても解説をしていきましょう。
当然、外壁がぼろぼろになっているような、目に見えてわかる状態ならわかりやすく外壁塗装を行うべきタイミングであると言えるでしょう。
しかし、環境が整っていたり目に見えて劣化が確認できないような場合であっても、外壁塗装を行った方が良いこともあります。
外壁塗装は15年で3人に2人が検討しはじめる時期
大雑把な目安として存在しているのは、一般的には「築10年ごとにメンテナンスが必要である」というものです。
実際に過去お問い合わせのあった3285人からのデータで15年未満で検討し始めている方が約6割強です。
ただし、これは大雑把な目安でしか無く、家の材質や使っている塗料によってメンテナンスが必要な年数などは変わってきます。
10年よりも短いタイミングでメンテナンスが必要なお宅もあれば、10年以上メンテンナンスなしでも大丈夫といったお宅もあるということです。
前回の塗装で高耐久の塗料を使っていれば20年近くもつこともありますし、環境によっては10年以内に塗装したほうが良い地域もあります。
そのため、より正確なタイミングを把握するためには、材質や塗料にどのようなものを使っているかを知っておく必要があるでしょう。
外壁塗装のタイミングを判断するサイン
外壁塗装をするべきかどうかのタイミングを判断するサインとして、やはりわかりやすいのは目に見える症状でしょう。
外壁に現れる症状には、以下のようなものが存在します。
雨だれ跡
ドアや窓から黒い汚れが下に伸びている状態のことです。
塗装の機能が落ちて、汚れが貯まり水と一緒に流れ落ちない状態になります。
外壁の膨れ
塗料が下の外壁材と相性が悪く、内部の熱で塗料の膜が浮いてしまっている状態です。
ヒビが入ると内部に水が浸入してしまう可能性があります。
チョーキング
外壁を手で触った際にチョークを触った後のような粉が手につく状態です。
塗装が剥がれている証拠です。
コケ・カビ
外壁にカビや苔が生えてしまっている状態で洗浄などで無理に落とそうとすると、はく離してしまう可能性もあります。
外観的にも良くありません。
ひび割れ(クラック)
外壁にひびが入っている状態で、特に横に走っているひび割れは要注意です。
ひび割れ部分から雨水が侵入し、外壁の内部を腐らせる可能性があります。
はがれ(はく離)
表面の塗装と下地の付着力が弱まってしまい、塗膜がはがれてしまっている状態です。
そこから雨水などが入ってしまうため、建物の構造までダメージを受けてしまいます。
剥落・錆
表面の塗装ではなく、中のモルタルがはげ落ちている状態です。
またはモルタルの中の金網のような部品が、錆びて外壁の表面にまで出てきてしまっている状態です。
これらの症状が確認できた場合、外壁塗装のタイミングであると判断して良いでしょう。
上記の症状が出た場合に放置したままにしていると、建物自体の寿命が短くなってしまう可能性もあるため、実際に工事をやるやらないは別として、少しでも気になる箇所を発見したら点検してもらうのが安心です。
特に剥落・錆については早急に点検が必要と考えられます。
大したことがないと思っていても、ひび割れや剥がれた場所から雨水が入り、急速に劣化していく可能性もあるため、迅速な判断と行動が必要です。
塗料の耐用年数から判断する
外壁塗装における耐用年数が表す2つ目の意味として、使用する塗料自体の耐用年数があります。
外壁塗装に使われる塗料には、アクリルやウレタン、シリコンやフッ素など様々な種類が存在しています。
塗料の耐用年数は種類ごとに違っているため、どの塗料を使って外壁塗装をするかによって寿命の長さが異なるのです。
代表的な塗料の耐用年数は、次の通りです。
塗料の種類 | 耐用年数 | 特徴 |
---|---|---|
無機塗料 | 15年~20年 | いわゆる自然界にあるものを使った塗料で、高性能塗料のため高価。かなり耐久性に優れていて、耐用年数も一番長い。自然に優しい塗料として注目を浴びている。 |
遮熱塗料 | 15年~20年 | フッ素塗料と並び、ハイグレードな塗料。遮熱塗料には名前の通り熱を反射する性能があり、外壁塗装だけでなく屋根塗装に使用されるケースも多い。遮熱塗料を使うだけで、室内環境の快適さは向上する。 |
ピュアアクリル塗料 | 12〜15年 | アクリル塗料の上位版と考えるといいでしょう。防水性に優れた特徴があるので、一定期間は汚れにくい塗料です。ただし、ある程度のコストがかかるのは難点。 |
フッ素樹脂塗料 | 15~20年 | 無機塗料の次に性能も価格も高い塗料。耐候性、親水性、防カビ等にも優れているため、大型建築物(スカイツリー等)に使用されている。 |
光触媒塗料 | 10〜15年 | 数ある塗料の中でも、セルフクリーニング効果が備わっている珍しい塗料が光触媒塗料です。雨や太陽光などと化学反応を起こし、塗料自体が表面をきれいにする効果を持っています |
シリコン樹脂塗料 | 10~15年 | 現在主流となっている塗料。総合的に見て、一番性能も価格もバランスがいい塗料として人気。 |
ラジカル塗料 | 10~15年 | シリコン樹脂塗料よりも性能がいいと注目されている新しい塗料。以前から塗膜劣化の大きな原因だったラジカルを制御し、さらに耐久性が強くなった塗料。 |
ウレタン樹脂塗料 | 8~12年 | ひと昔前に流行った塗料。ひび割れに強く、シリコン樹脂塗料よりも安価。しかし、耐久性はシリコン樹脂塗料に劣る。 |
アクリル樹脂塗料 | 5~7年 | 他の塗料と比べて耐久性が劣るため、現在は滅多に使用されない塗料。ただ、安価で色も豊富のため、何回も塗り替える予定がある人向け。 |
この他、さらに付加価値のある塗料も続々と登場しています。
例えば、太陽の光で汚れを分解することができる「光触媒コーティング材」や、夏は涼しくて冬は暖かい「断熱、遮熱塗料」、弾力性が高く伸び縮みするのでひび割れを防いでくれる「高弾圧性塗料」などがあります。
効果とコストを考え、我が家に最適な塗料を選びたいですね。
外壁塗装をしないとどうなるのか?
外壁塗装の劣化を放置しているとどうなるのか、実際に発生するトラブルについても触れておきましょう。
まず、壁の塗装というのは、ただ見た目を整えるためのものではありません。
外壁を環境の変化から保護し、長持ちさせるための機能も有しています。
そのため、外壁塗装を放置することは、壁の耐久性を低下させていくと言っても過言ではありません。
特にひび割れや剥がれなどは、そこから内部に雨水などが侵食していき、目に見えない所で壁に大きなダメージを与えている場合もあります。
流石に建物が倒壊するような事態は起きませんが、ふとした拍子に壁が崩れてしまったりする場合があるため、メンテナンスは欠かせません。
鉄筋コンクリート造の建物は47年程度が寿命とされていますが、メンテナンスを一切行わなければ30年程度が寿命であるとも言われています。
逆にしっかりとメンテナンスを行えば、50年、60年と長持ちするとも言われており、長く住む場所であれば外壁塗装もしっかりと行うべきであると言えるでしょう。
外壁塗装の時期・タイミングに関してよくある質問
最後に外壁塗装の時期やタイミングに関する質問と、その回答をまとめていきましょう。
この記事で取り上げた質問以外にも、疑問に思ったことは事前に業者の方に確認・相談することで、無用なトラブルを避けることができます。
外壁塗装が不要な外壁材はありますか?
そもそも外壁塗装を行わなくても良い外壁材は存在するのか、という質問です。
いわゆるメンテナンスフリーな夢の外壁材……というわけでもなく、実際に外壁塗装を行わなくても長持ちする外壁材というものは存在しています。
それが「タイル」と呼ばれている外壁材で、かなり頑丈な素材であるため、タイルそのものはメンテナンスフリーであると言えます。
しかし、いくらタイルが頑丈でも、タイル同士をつなげるための接着面やシーリング(コーキング)部分は違うため、完全なメンテナンスフリーであるとは言えません。
同じくメンテナンスフリーと言われる外壁材に「樹脂サイディング」というものも存在します。
再塗装の必要が無く、素材そのものも強固で頑丈という外壁材ですが完璧ではありません。
外的要因で劣化したりひび割れが発生する場合があるため、完全なメンテナンスフリーというよりも、「メンテナンスの頻度を少なくできる外壁材」と言うのが正しいでしょう。
外壁塗装は何年もちますか?
外壁塗装が何年持つか、という質問に関してですが、これは使っている塗料や建造物の構造、住んでいる場所などによって変化するため断言はできません。
上記で解説した塗料ごとの耐用年数や、外壁材の耐用年数によっても変化しますし、降雪・降雨量や寒暖差の激しい地域であればより劣化しやすいと言えます。
そのため、正確な年数を把握したいのであれば使われている塗料が何であるかを調べてみましょう。
そのうえで住んでいる場所の環境から劣化しやすい場所かそうでない場所かを判断し、劣化しやすい場所であれば少なめに、劣化しづらい場所なら多めに年数を見積もると良いでしょう。
大雑把な年数であれば、前述したように10年が目安と考えて良いでしょう。
外壁塗装アドバイザー
嘉瀬のコメント
実際にお客様から話を聞くと、住環境の違いで耐久年数が大きく変わることが分かります。
例えば降雪地域では、外壁や屋根が水分に触れている時期も長い為(冬場)、もともとの耐久年数より早めに塗料が落ちてしまったり、防水性がなくなることが多いと実感しています。
外壁塗装を検討してから工事までにどれくらいかかりますか?
外壁塗装を依頼し、そこから実際に工事を行うまでにかかる時間についての質問です。
これはどれくらい忙しいか、という時期の問題が関わってきます。
そういった問題を考えずに最短でどのくらいかかるかというと、およそ7日、つまり一週間はかかります。
一般的には7〜10日くらいが工事までにかかる期間であり、繁忙期である春であれば、場合によっては1か月近く待たされる場合もあるでしょう。
逆に閑散期である冬場であれば、一週間前後の短い期間で工事に取りかかってもらえる可能性があります。
まとめ
以上、外壁塗装にベストな季節と、行うべきタイミングについて解説しました。
外壁は外壁材を保護するための重要なコーティングであり、建造物の外観を整えるためにも欠かせないものです。
そうそう頻繁に塗り替えるものではありませんが、劣化を放置していると外壁材自体にも悪影響が及ぼされるため、耐用年数を把握したうえで最適と思えるタイミングに依頼を出すことが、建物を長持ちさせる秘訣であると言えるでしょう。
定期的なメンテナンスを心がけるだけで、建物はぐっと長持ちします。
塗料メーカーが想定している塗膜が形成されない恐れがあるため、気温5度以下、湿度85%以上の気候条件は推奨されていません。
特に積雪地域にお住まいの方は、冬季は塗装工事が出来ません。ベストシーズンに施工したい方は、早めに検討するのが賢明でしょう。