外壁塗装をやらなきゃいけないALCって何?ひび割れ(クラック)に強いALCパネル
へーベルハウスで使用されているALC
外壁塗装と言っても、一戸建ての外壁には多くの種類があります。
かつては日本の戸建てはモルタルが主流でしたが、現在はサイディングと呼ばれるモルタルと同素材を工場で成形したボードを貼り付ける手法の外壁が8割を占めています。
そしてサイディング以外に、数はそこまで多くない外壁材として、ALCと呼ばれるものがあります。
旭化成のへーベルハウスで使用されている外壁材といえば、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
外壁材としてのALCを製造しているメーカーは、日本では旭化成を含めて3社しかありません。
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ALCとは?
ALCの原料は、実はモルタルやサイディングと大きく変わるわけではありません。
ALCは正式名称Autoclaved Lightweight aerated Concreteの頭文字を取ったものです。
訳すと、高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリートという意味で、簡単に言えば軽いコンクリートです。
コンクリートはセメントと水と砂、砂利を混ぜて固めたものです。
モルタルやサイディングもその主原料はセメントですので、その特性が大きく違う訳ではありません。
ALCの圧倒的な耐久性
ALCはサイディングと同じように、工場でALCパネルが製造され、ALCパネルを現場で貼り合わせて施工します。
ALCの特徴として、その高温、高圧での製造過程により圧倒的に長い耐久性があります。
50年以上の耐久性があると言われており、上記のへーベルハウスも60年点検システムという非常に長い期間のメンテナンスが採用されています。
そしてモルタルに比べて亀裂が入りにくい、同じくボードを貼り合わせるサイディングに比べてもさらに亀裂は入りにくいという特徴があります。
外壁がALCの方の注意点その1
防水性がない
ALCがモルタルやサイディングと材料的に、大きな違いがないと書きました。
結果として、モルタルやサイディングと同じように、ALCもそれ自体に防水性がありません。
他の外壁と同じで、仕上げの塗装によってその防水性を保っています。
ですのでALC自体の耐久性が高くても、塗装の耐久性はそこまで長くありません。
塗り替えのタイミングを誤ると、せっかくの耐久性の長さが失われてしまう事になるので、塗り替えタイミングを非常に注意しておかなければならない外壁材である事を知っておいて頂きたいです。
外壁がALCの方の注意点その2
目地のコーキングは劣化する
ALCはサイディングと同様に、パネルを現場で貼り合わせて施工します。
そしてサイディングボードよりもさらにその幅が狭いので、そのパネルとパネルの隙間を埋めるコーキング箇所が多くなります。
コーキングも塗装と同様に、ALCほどの耐久性は到底ありません。
コーキングの切れや剥がれからALCボードに雨水が侵入すれば、防水性のないALCはその特徴である耐久性を維持できません。
ALCパネルは構造上、内部にモルタルのラス網のような、鉄筋やメタルラスが組みこまれています。
ALCの目地のコーキングに入ったクラック(ひび割れ)を放置しておくと、吸水性の良さから雨水をどんどん吸い込み、内部の鉄筋が錆びていってしまいます。
錆びた鉄筋は膨張し、さらに周囲のALCを壊してしまいます。
ALCは強いですが、塗装とコーキングによって守られてこそ、その強さを維持できるもので、冒頭で紹介したへーベルハウスの60年点検システムでも塗装とコーキング防水の点検は5年ごとに行う事になっています。
まとめ
一概には言えませんが、一般的には塗装の耐久性(塗膜の劣化)よりもコーキングの耐久性の方が低いです。
ALCは、モルタルやサイディングに比べてクラック(亀裂)が入りにくいので、塗装の耐久性の状態をチェックするのは素人には難しい外壁です。
ですから、なるべく頻度高くパネルとパネルの隙間のコーキングが切れていない、ひび割れていないかを定期的にチェックすることが、大きな失敗をしないポイントになると思います。
せっかく高価なALCを採用したのですから、その機能を維持するべく塗装とコーキング防水の定期的なメンテナンスを忘れないようにして頂きたいと思います。
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