外壁塗装のリシン仕上げって何?モルタル壁の仕上げ方法の一つ
リシンはモルタルの仕上げ方法の1つ
リシンとは、モルタル外壁の仕上げ方法の1つです。
今現在の外壁材の主流はサイディングと呼ばれる、工場で作った既製品のボードを貼り付けていくものですが、築年数が20年前後の住宅はモルタルがほとんどだと思います。
外壁がリシンだと言われたら、外壁材はモルタルです。
日本の昔の城や倉などの白壁は、漆喰と呼ばれ、その歴史は古く縄文時代後期までさかのぼりますが、モルタルはその漆喰の現代版で、主原料は石灰と変わりません。
漆喰は、もともと石灰と書かれていたものの当て字です。
英語でもmortarと記しますが、辞書で訳をひくと、やはりモルタル・漆喰とあります。
ちなみにモルタルとは、セメントと砂と水を混ぜて練ったものです。
詳しくはこちらでも解説していますので、ご覧ください。
リシンで防水性を補っている
モルタルは、セメントと砂と水を混ぜ合わせたものですので、モルタルが固まったとしてもモルタル自体には防水性はありません。
ですので、雨水からモルタルを守る為に、さらに外側に仕上げをする必要があります。
上記の画像だと、仕上げ材が塗装部分になり、この仕上げ方法の代表的な1つがリシンになります。
リシンという塗装で、モルタルを水から守っているのです。
リシンの注意点その1
クラックの入りやすさ
リシンは吹き付けにしろ、掻き落としにしろ、強く触ると指に傷がつくほどの細かい凹凸があります。
リシンの特徴である凹凸の溝に汚れがたまりやすいのです。
そして、もう一つ吹き付けリシンは、塗膜の薄さからクラック(亀裂)が入りやすいです。
クラック(亀裂)を見つけたからと言って、すぐさま外壁塗装をしなければいけないという事ではありませんが、リシン、特に吹き付けリシンは耐用年数が約7~8年のため、このクラックの様子を時々チェックすることが一番大事になります。
クラック(亀裂)も段階があるので、すぐに対処をした方が良いのかはその程度によって変わります。
種類 | 重症度 | 詳細 |
---|---|---|
ヘアークラック | ★☆☆ | 髪の毛の細さほどの小さなクラックで、モルタルではなく塗膜のみのクラック。 経過観察で問題なし。 |
乾燥クラック | ★★☆ | モルタルの乾燥とともに入る、モルタルと塗膜のクラック。 その幅次第ではあるが、すぐさま再塗装を必要とするものではないです。 もし横に入ってしまっている場合は、雨水の侵入が縦クラックに比べて膨大になるので早急な処置が必要になる場合があります。 |
構造クラック | ★★★ | 幅が0.3mm以上で、その深さが0.5mm以上あるモルタルと塗膜の大きなクラック。 早急な処置が必要。 |
リシンの注意点その2
チョーキングのチェックの難しさ
リシンにクラックが入っていなかったとしても、そのリシン自体に防御膜としての効果が無くなってきている場合があります。
チョーキングと言って、指でさわると学校の黒板で使われていたチョークを触ったように塗料の粉が付く現象が、塗膜が剥がれていく証拠として表れるのですが、リシンは表面がざらついていて指の腹全体で塗膜を触るという事ができません。
結果としてチョーキングに気づかずに適切な塗り替えのタイミングを逃してしまい、結果として無駄なコストがその後発生してしまったという事が起きてしまいます。
リシンのチョーキングのチェックは、触ることのできる表面積が小さいので、指で触ったあと目を凝らして少しでも粉がついていないかを観察するようにしてください。
クラックやチョーキングには要注意
我が家に長く住もうと思っているなら、クラックやチョーキングには要注意です。
家がダメージを受けている証拠なので、そんな時は外壁塗装をするタイミングです。
外壁塗装パートナーズでは、お家の劣化状況に対して、適切な処置ができる塗装会社をご紹介しています。
以下のフォームより無料でご依頼できますので、お気軽にご相談ください。
そもそも吹き付けリシンとは?
リシンは塗料の中に細かい石を混ぜた塗料で、一般的にはコンプレッサーと呼ばれる機械でモルタルにリシン塗料を吹き付けていきます。
ローラーで塗ったり、コテで仕上げていくのに比べ、短時間で塗装が済みますので、多く採用されています。
細かい石が入った塗料を吹き付けているので、表面はザラザラとしていて、指で力を入れて触ると、傷がつくほどのざらつきがあり、砂壁のような風合いとなります。
比較的塗膜が薄いため、防水性、耐久性はそれほど高くはなく、耐久性は7年~8年ほどと言われています。
同じような仕上げ方法で、リシンと使用する素材や耐用年数が異なる「スタッコ」という仕上げ方法があります。
こちらも併せてご覧ください。
掻き落としリシンとは
リシンといえば一般的には吹き付けリシンの事を指しますが、掻き落としという作業を施したリシンの外壁があります。
これはリシンを吹き付けるのではなく、コテでリシンを塗っていき、最後にその表面を剣山などで引っかいてザラザラ模様にしていく手法です。
吹き付けリシンと比べて圧倒的に手間はかかりますが、独特の風合いが生まれるとともに吹き付けリシンではデメリットとしてあった塗膜の薄さも、掻き落とす分も考慮してコテで厚めに塗りつけていくので無くなっています。
リシン仕上げの壁に適した塗料は
リシン壁は水分を吸収しやすく、その分蒸発もしやすい「呼吸をする壁」です。
しかし、吸収してしまった水分を塗料の膜(塗膜)が覆ってしまうと蒸発できなくなり、溜まった空気が脱出しようと塗膜を破って「膨れ(水ぶくれ)」と言われるトラブルの原因になります。
リシン壁専門に開発されたのが、日本ペイントのインディフレッシュやエスケー化研のアートフレッシュなどの塗料です。
艶もないので塗装した後の質感が、元々のリシンに最も近いです。
しかし、一般的な塗料でもリシン壁への施工がNGなわけではありません。
念のためにリシン壁用の塗料を出している各メーカーに問い合わせをしてみましたが、メーカーからも「他塗料でもリシン壁にも使用が可能」との見解でした。
ただ、リシン壁専用ではない塗料で施工をするときに1点注意いただきたいのが、黒、こげ茶色など濃色に塗り替えを検討している場合です。
濃色は紫外線を吸収しやすく塗料の下にまで熱が届き、蓄熱するため蒸発が起こりやすくなってしまい、ほかの色に比べて膨れが起きやすいです。
元々のリシン壁の質感を気に入っている、濃色を選びたいという場合には、膨れのリスクがない専用塗料の方がお勧めです。
まとめ
建売にしろ、注文住宅にしろ、最近はサイディングの外壁が圧倒的に主流となり、吹き付けリシンはめっきり見なくなり、注文住宅でのリシンの掻き落としが一部残っているというような状況です。
ご自宅が調べてみると吹き付けリシンであると思われる場合は、なるべく早期に一度第三者によるチェックをしてもらった方が良いと思います。
塗膜が薄いため、他の仕上げと比べても耐久性は一番短く10年とはもたず、7年ほどが目安となっています。
適切なタイミングでの再塗装を行えば、現在は耐久性の長い塗料もたくさん出てきていますのでご自宅の資産性を高める事ができます。
外壁のメンテナンスの目的は、建物の耐久性の向上と美観の保持です。
どちらも我慢し過ぎると結果的により大きな出費を伴う事になってしまいますので、早め早めの対策を心がけて頂きたいと思います。
外壁のメンテナンス時期については以下で詳しくご紹介していますので、ぜひご一読ください。