我が家の外壁に出来た膨れは何?3つの原因と対策をご紹介
自宅の外壁の塗装が膨れ上がっている!
ご自宅の外壁の塗装が膨れているのを見付けてしまった場合、どうしたら良いのでしょうか?
放っておいてもいいのか?
部分的に補修ができるのか?
それとも全体的に塗装をし直した方がいいのか?
結論から言えば、再塗装をお勧めします。
なぜなら塗膜の膨れにとどまらず、破裂して破れてしまったら即再塗装が絶対に必要だからです。
なぜ「膨れ」は再塗装をした方が良いサインなのか?
一般的に10年が外壁塗装の目安と言われていますが、塗料やコーキングのおおよその耐久年数から考えてわかりやすくキリがよいので、10年塗り替えというのが言われているだけです。
10年で塗り替えをすれば良い、というような類のものでは全くありません。
10年以上経ってもまだ塗装の必要のない家はありますし、5年でもしなければならない家はあります。
ではなぜ、外壁塗装に膨れが見つかった場合には、塗り替えを検討した方がい良いのでしょうか?
それは、塗膜(塗料でできた膜)が膨れて薄くなっているため、その後破裂して、剥がれて雨漏りする事態を防ぐためです。
そして、その剥がれてしまった塗膜(塗料の固まった膜)こそが、外壁自体を守る役目を果たしているからです。
木をモルタルが守り、モルタルを塗膜が守る
非常にざっくり外壁の構造を説明すると、構造体である木、モルタル、塗膜です。
サイディングでも同じで、構造体である木、サイディングボード、塗膜(塗装でできた膜)です。
そしてそれぞれの役割は、木は構造体なのでその名の通り家自体であり、家を支える役割です。
モルタルやサイディングの役割の大きくは、構造の補強と燃えない材質なので火災の防止です。
そして、塗膜の役割がモルタルとサイディングの保護です。
モルタルやサイディングボードにはそれ自体に防水性がなく、むき出しのままですと雨水を吸ってボロボロと崩れていってしまいます。
モルタルが家の基礎である木を守り、塗膜がモルタルを守るという構造なのです。
だからこそ、その防御壁であると塗膜が剥がれているという状態は、モルタルやサイディングが雨水に対してむき出しになってしまっているという事なので、早急に対応しないと外壁塗装では済まず、モルタルのやり替え、サイディングボードの張り替えという外壁工事をしなければならなくなってしまうからです。
そして塗膜の膨れは剥がれの一歩手前の状態なので、塗り替えのサインとなるのです。
なぜ外壁塗装の膨れが起きるのか
見た目にも良くない、危うい状態の外壁塗装の水膨れ(浮き)ですが、なぜ起きてしまうのでしょうか?
塗膜(塗料でできた膜)が膨れるという事は、何かに押し広げられているという事です。
そして押し広げてしまうものは、大きく3つあります。
1. 溶剤
外壁塗装は基本的には、3回塗ります。
下地、中塗り、上塗りという工程になります。
そして下地としてのシーラー、中塗り・上塗りで使う塗料は塗りやすくするために溶剤というものを使います。
油性塗料であればこれがシンナーであり、水性塗料であれば水です。
そしてこれらが揮発していくことで乾燥し、塗膜を形成していくのですが、まだ溶剤が揮発している段階で、次の塗りの工程をしてしまうと、行き場を失った揮発した溶剤が上に塗られた塗料を押し広げてしまうのです。
対策
下塗り、中塗り、上塗りの工程間隔を空け、乾燥をしっかりさせてから、次の塗りに入る業者を選ぶ
2. 水
外壁は現在、サイディングボードが主流で、次にモルタルです。
どちらにしろ素材はセメントです。
塗膜はこれらを保護するために塗るわけですが、溶剤の乾燥不良による膨れを防いだとしても、より内部のサイディングやモルタル、家の内部からくる水分が蒸発してくる時に、塗膜を押し広げる原因となって膨れが発生します。
特にサイディングボードは蓄熱しやすいので、最近では通気層を設ける通気工法が採用されていますが、世に出たての頃は直に外壁に貼り付ける工法だったため水蒸気の逃げ場がなく、塗膜側にしみ出してきてしまいます。
直貼り工法と通気工法についてはこちらをご覧ください。
また、モルタル外壁のリシン仕上げやスタッコ仕上げなどの細かい凸凹のある仕上げ方法での塗り替えの場合、しっかりと塗らないと塗料が凸凹の隙間に行きわたらず、一見しっかりと塗れているように見えて、凹部が塗れておらず表面を覆っているような状態になり、壁面と塗膜の間に隙間が生じてしまいます。
自ら空気層を塗膜の下に作ってしまっていますので、この空気が熱により膨張して塗膜を押し広げる原因となってしまうのです。
対策
そもそも膨れの発見が塗り替えの原因であれば、外壁自体からの水分蒸発が多いことも仮定し、透湿性の高い塗料を採用する。
直貼りのサイディングの場合は、弾性塗料(伸縮性のある塗料)は使用しない。
凸凹のケースは、下塗りのシーラーや塗料の希釈率を上げて、少し滑らかな状態にしてしっかりと凸部に行き渡るように注意する。
3. 塗膜
築年数が古く、2回目以上の外壁塗装の場合、元々の外壁の上に何層も塗膜ができている事になります。
そして、徐々に徐々に新築時のころの塗膜から粘着力が薄くなってきているところに、新しい塗料の膜を背負うようなものですから塗膜の重さ自体で、塗膜が剥がれるという現象が稀に起きてしまいます。
剥がれた古い塗膜が押し広げる原因となるのです。
対策
粘着力の弱くなった塗料を剥がしてしまう事も考慮して、塗装前の高圧洗浄を念入りに行う。
もちろんその後の乾燥もしっかりと行う。
まとめ
外壁塗装の膨れは上記のように、知識不足、倫理不足、経験不足と様々な理由で発生してしまいます。
何回か塗り替えをしていない限り、前塗膜の剥がれによる膨れはないと思いますので基本的には膨れは、水なり溶剤の揮発した気体による押し広げによるものです。
そしてその押し広げた後に、冷まされた水蒸気は再び液体となり、膨れの内部でとどまっているケースもあります。
実際に膨れをつつくと、水が漏れてくる事があります。
不要な水分は、カビなどの原因ともなりますので、やはりご自宅に塗装の膨れを見つけた場合はなるべく早期に一度、第三者のチェックを受ける事をお勧め致します。
ごく一部にだけ膨れがでるという事はあまりなく、外壁全体に膨れが発生している可能性が高いからです。
膨みは見た目にもよくありませんが、外壁塗装の一番の目的である建物の耐久性を保つ為にも見逃すことにできないサインなのです。