外壁のひび割れ・亀裂の原因5つ | 補修方法・費用や保険が使えるか解説
外壁のひび割れや亀裂は、放置していると壁が劣化していく危険な症状です。
外壁にひび割れが発生した際に対処をするべきなのか?実際にどれくらいひび割れていたら問題なのか?など、わからない方も多いかもしれません。
この記事では外壁のひび割れ・亀裂の原因や対処法について解説します。
外壁のひび割れが発生する4つの原因
①経年劣化
生物が年月で老化していくように、無機物も年月を経て劣化していきます。
外壁も長い年月による経年劣化は避けられず、必ず発生してしまいます。
外壁材や外壁の塗装にはそれぞれ耐用年数というものがあり、正しく手入れしていてかつ周囲の環境にも問題が無ければ、基本的にはその耐用年数かそれ以上の年月状態を維持することができます。
しかし、周囲の環境や外壁材の状態によってひび割れや亀裂などが発生してしまいます。
②施工不良
外壁塗装を行ってから長くたっていない場合、施工不良の可能性があります。
期間の目安として1年以内にひび割れや塗料の剥がれが起こっている場合、施工不良の可能性が高いです。外壁塗装の手抜き工事は施工してスグにはわかりません。
正しく、工事を行ってくれる業者を選定しましょう。
③コンクリートの乾燥
肌が乾燥してひび割れるのと同じように、外壁のひび割れや亀裂は乾燥によっても発生します。
そのため、壁に使われているコンクリートが乾燥するにつれて、外壁にひび割れが起きてしまい、そこからひびが広がっていきます。
上記の湿度や温度による変化によって乾燥状態も変化するため、寒暖差や長期間の日照りなどといった環境の変化によってひび割れが発生する可能性があります。
④電車・車からの振動や地震
近くに線路や幹線道路沿いなどでトラックや大型車両がよく通る道路に面していると、振動が原因で外壁にひびが入ってしまうこともあります。
ただし、振動によるひび割れは正しくメンテナンスを行えば深刻な被害になりにくいです。
また道路工事の振動でひびが入ってしまうケースもあります。
市区町村によっては補償も受けられることもあるので、お住いの自治体に確認してみることをおすすめします。
外壁にヒビ割れが出ても1mm未満なら気にしないでOK
ヒビ割れの程度は大きく分けて3つのレベルに分けられます。
ヒビの大きさ | 補修の必要性 |
---|---|
1mm未満 | 問題なし |
1mm以上3mm未満 | 補修時期 |
3mm以上 | すぐに補修が必要 |
一番酷いヒビ割れの箇所が1mm未満であれば、それほど気にする必要はありません。
参考程度ですが、ボールペンで書いた筆跡が0.5mm、油性ペンの細で書いた筆跡が約1mmです。
その他、身近なものでいうとスマートフォンの充電ケーブルが直径約3mmですので、3mmmのヒビというのは相当インパクトがあると想像できると思います。
外壁ではなく、コーキング部分にヒビがある場合は、こちらの記事が参考をご覧ください。
3mm以上のヒビ割れは危険
実は、戸建て住宅における雨漏りの発生原因の3位に外壁がランクインしています。
順位 | 雨漏りの発生原因 |
---|---|
1位 | サッシ回り |
2位 | 下屋取り合い |
3位 | 外壁 |
4位 | ベランダなどの笠木の不具合 |
5位 | 各部位の取り合い |
雨漏りというと屋根からするイメージがありますが、実は窓サッシの周りや下野取り合いの防水処理不足、加えて外壁のヒビ割れからの雨漏りがおきているとのことです。
外壁のひび割れは補修すべき種類がある
外壁のひび割れ、クラック(亀裂やひび割れ)にはいくつかの種類が存在します。
種類が存在するということは、原因や対処法が異なるということであり、間違った知識で対処すると状態を悪化させてしまう可能性もあります。
事前に正しい知識があれば、外壁の補修を依頼する際にもスムーズに話を進めやすくなるでしょう。
①乾燥クラック
乾燥クラックとは、文字通り乾燥によって発生するクラックのことです。
水分を含んだものが乾燥するとどうなるか、というのは専門的な知識を持たない方でもわかるでしょう。乾燥クラックも同じで、乾燥することによって萎む、つまり収縮が発生することによってひび割れが発生します。
より正確な発生の仕組みを解説すると、外壁塗装はモルタルを塗ってからその上に塗装を行います。
この際にモルタルより先に塗装が乾くことで、後からモルタルが乾いて収縮が発生し、先に乾いていた塗装部分が割れるようにクラックが発生する、といった仕組みです。
基本的にひび自体は小さいものの、塗装後に発生するため目立ちます。
②ヘアークラック
ヘアークラックとは、クラックの中で髪の毛のように細く浅いものを指します。
基本的には乾燥クラックと同様に塗装の乾きなどが原因で発生するもので、小さいためそこまで大きな悪影響は無く、急いで補修する必要はありません。
緊急性はありませんが、長期間放置することで幅が大きくなるため、水分などを吸収して外壁自体をもろくしてしまう可能性があります。
他のクラックの補修ついでに、ヘアークラックも補修してもらうようにしましょう。
③構造クラック
構造クラックとは、名前の通り、建物の構造そのものに影響を及ぼすようなクラックのことを指します。
こちらは状態も発生原因も深刻なものであり、建造物の設計段階のミスや、建築時のミス、地震などの揺れや地盤沈下などによって発生します。
構造的欠陥であるため、迅速に対処しなければ建物が崩落したり歪む原因になりますが、構造自体に問題がある場合は大規模な修理も必要なため、補修費用は通常のクラック補修よりも高くなります。
④縁切りクラック
※イメージ
縁切りクラックは作業の中段・塗り直しによって生じるひび割れです。
こちらはひび割れ幅が0.3mm以下なら補修は不要です。
一般的にモルタル外壁は1度に1面を塗り直して行きますが、天候などの関係で作業が止まってしまう場合もあります。
中断された面からまた塗り直しが始まると境目ができるため、適切に処理を行っていないとその境目からひび割れが起きてしまいます。
ヒビ割れから雨が進入すると柱が腐ってしまう
基本的に外壁というものは塗装によって保護されています。
つまり、塗装されている外壁の表面は保護されていても、塗装の効果が無い内部は無防備であると言えます。
ひび割れは外部の損傷ではありますが、同時に無防備な内部を晒している状態でもあります。
そのため、ひび割れから雨水が侵入したりすると内部から柱が腐ったりしてしまい、場合によっては耐震性が損なわれ、地震が起きた際に崩落の危険性も生じます。
とはいえ、そこまでの状態になるには相当な年数が必要なため、ひび割れを発見して迅速に対処すれば問題はないでしょう。
滅多にないことだとは思いますが、内部の柱がむき出しのまま長期間放置され、腐っていることが目に見えてわかるような状態であれば、柱の補強も必要です。
外壁のひび割れをそのままにしたときにおこるリスク
外壁のひび割れを放置しているとどのようなことが起きるか、放置リスクについても解説しておきましょう。
前述したように、外壁というものは塗装によって保護されており、塗装によって雨風や環境の変化というものから壁材を防護し、長持ちさせています。
ひび割れはその防護が無い内部を外部に晒しているといった状態であり、環境の変化や雨風によるダメージを直に受け、劣化を進めてしまう原因になります。
雨水による腐食によって脆くなったりすると、地震や台風といった災害で崩れやすくなったり、柱などの支える部分も脆くなってしまい、建物が崩落する可能性も生じます。
そして基本的に補修・修理というものは被害が大きくなればその分高くなります。
つまり、いずれ絶対修理しなければならない状態にまで悪化するうえ、その状態になると修理費用も高くなってしまうというのがひび割れ放置のリスクと言えるでしょう。
外壁のひび割れ補修を自分でやる方法
住宅に起きている小さなヒビ割れの場合、上から塗料を塗るだけでほとんど問題ありません。
3mm以上の多きなヒビ割れの場合は、コーキングを使います。
- ヒビ割れの周囲を綺麗にする
- ヒビ割れの周りにプライマーを塗る
- コーキング材を注入する
- ヘラで馴らす
- 下塗り
- 中塗り
- 上塗り
必要な場合は、塗料を塗る前の下塗りで、フィラーと呼ばれる厚みを付ける下塗り剤を塗ります。
外壁塗装のひび割れは業者に依頼すべき理由
ヘアークラック程度のひび割れであればある程度知識があり、かつ正しい方法で自己補修を行えば素人でも直すことはできます。
ただ、それ以上のひび割れはまず状態の確認などを行ったうえで、本当にひび割れだけなのか、雨水などの侵食は進んでいるかなどを正確に判断できるような専門的な知識・経験が必要になります。
素人判断で補修した結果、実は内部が腐食しており、気づかないまま腐食が進んでいくというような問題自体にもつながります。
そのため、ひび割れはしっかりとした業者に補修を依頼すると良いでしょう。
外壁のひび割れについてよくある質問
最後に外壁のひび割れに関する質問のご紹介と、その回答をまとめました。
今回まとめたもの以外にも、気になったことがあれば業者に尋ねましょう。
基本的に素人がネットで調べて判断するよりも、専門的な知識と経験を持った業者に直接聞いた方が確実な情報を得ることができます。
あくまでも今回解説した内容は参考程度に意識して、決して自己判断だけで補修を行わないようにしましょう。
Q.外壁のひび割れは保証がききますか?
A.基本的にひび割れには保証は適用されません。ただ、いくつか保証される例外も存在しています。
例えば外壁塗装や建築自体のミスによってひび割れが発生している場合は、保証が有効な場合があります。
これは建築業者や塗装業者のミスに由来するものであるため、保証対象と判断されやすいからです。
ただし、経年劣化によるひび割れや、何かをぶつけたりしたことによるひび割れは保証を受けることができません。
Q.外壁のひび割れからは雨漏りはしますか?
A.これは「ひび割れ自体からは雨漏りは発生しない」という答えになります。
しかし、「ひび割れが雨漏りの原因になる」という話につながります。
というのも、外壁の構造としてはただコンクリートの壁があって、その上に塗料を塗っているというだけではなく、大抵の場合は壁材の下地に防水シートなどが存在しています。
この防水シートに雨水などが浸透すると雨漏りが発生するため、ただのひび割れ自体から雨漏りが起きることはありませんが、ひび割れから侵入した雨水が防水シートに浸透し、雨漏りが発生する場合があります。
Q.外壁のひび割れ補修は保険が効きますか?
A.この場合に適用する保険というのは、火災保険になります。
火災保険は名前の通り火災でしか使えない保険というわけではなく、災害被害全般に使うことができます。
つまり、外壁のひび割れの原因が災害由来であることが証明できれば、ひび割れ補修を含めた外壁の補修・塗装全般に火災保険を適用することができます。
この災害というのは、単純な風災や台風といった建築物自体が崩壊しかねない大きなものから、強風によって飛ばされたものが壁にぶつかってできたひび割れや、雹や雷といったものも対象になります。
要するに人為的でなく、経年劣化によるものでもなく、自然的な要因でできたひび割れであれば良いということです。
まとめ
以上、外壁のひび割れや亀裂の原因と、補修方法などについてまとめました。
記事内でも解説したように、外壁というものは塗装によって保護されています。その保護を無視して雨水が外壁にダメージを与えるきっかけとなるのがひび割れです。ただ見た目が悪くなるだけ、これくらいじゃ壁が崩れたりしないと楽観視していると、いつの間にか侵食した雨水によって内部が腐敗したり、柱などの別の部分にまで被害が及ぶことがあります。
特に侵食具合は素人目では分かりづらいため、しっかりと専門家である業者に依頼することをおすすめします。
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Q.外壁のひび割れは保証がききますか?
A.基本的にひび割れには保証は適用されません。ただ、いくつか保証される例外も存在しています。
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Q.外壁のひび割れからは雨漏りはしますか?
A.これは「ひび割れ自体からは雨漏りは発生しません。ただし、ひび割れが雨漏りの原因になる可能性はあるので早めに対処しておくべきと言えます。