【やさしく解説】住宅瑕疵担保履行法ってなに?
住宅瑕疵担保履行法とは?
正式名称は「
関連する法律の「
2000年に施行された品確法で、それまで2年間だった瑕疵担保責任が10年間になり、住宅の品質は向上し購入者の利益が手厚く保護されることになりました。
しかし10年以内に事業者が倒産してしまった場合、消費者は泣き寝入りするしかありませんでした。
そこで2009年10月1日に品確法を補足する形で施行されたのが、住宅瑕疵担保履行法です。
この法律のおかげで、10年間の瑕疵担保責任はより強固になり、現在はより安心して住宅を購入することができるようになりました。
万が一に備えた資力確保の義務化が骨子
住宅瑕疵担保履行法が発足したきっかけは、2005年~2006年にかけて世を騒がした、いわゆる構造計算書偽装問題です。
あの事件では住宅の欠陥が見つかった上に、関連する事業者が倒産してしまったため、せっかくの10年保証が生かされませんでした。
また、事業者が倒産していなくても、もし10年間以内に修繕が必要な瑕疵が発生した場合、住宅事業者側の金銭的負担は多大なものです。
そこで、事業者も消費者も安心して10年間過ごせるように、万が一の場合の資力確保を義務付けたのがこの法律です。
新築住宅を建てる際には住宅事業者は、保険への加入か、供託金の支払いのどちらかを実行する事が義務化され、万が一の修繕費が発生する場合はどこからお金が出てくるのか、住宅の購入時点で決まっています。
資力確保の方法その①
保険
10年間の瑕疵担保責任を履行するための資力確保の方法、まず1つ目は保険への加入です。
住宅瑕疵担保責任保険と呼ばれ、国から指定された5つの住宅瑕疵担保責任保険法人が取り扱っています。
保険会社 | 公式サイト |
---|---|
株式会社住宅あんしん保証 | URL |
住宅保証機構株式会社 | URL |
株式会社日本住宅保証検査機構 | URL |
株式会社ハウスジーメン | URL |
ハウスプラス住宅保証株式会社 | URL |
住宅の広さや保険法人によって保険料に差異はありますが、1軒あたり7~8万円程度の保険料になります。
この保険は買主が直接加入するものではなく、新築住宅を作る、販売する事業者が加入するものになります。
(ただし保険料を住宅価格に含めてもいいことになっているため、実質買主が払っていると考えていいです。)
住宅に瑕疵が見つかった際、その修繕費用や仮住まいの費用として最大2000万円の保険料が支払われます。
基本的には受取人は事業者ですが、事業者が倒産してしまっている場合は、買主が直接保険法人に請求・保険金受取ができるようになっています。
資力確保の方法その②
供託
10年間の瑕疵担保責任を履行するための資力確保の方法2つ目は、保証金の供託です。
事業者が保険に入るかわりに、供託所に現金を10年間預けておきます。
住宅に瑕疵が見つかった際は、この預けたお金から修繕費を捻出します。
供託所は法務局ですのでいつの間にか不適切に使用されているという事もなく安心です。
ただこの供託金ですが、かなり高額で1戸で2,000万円。10戸で3,800万円。100戸で1億円も預けなければなりません。
大手のハウスメーカーは別として、地場の工務店ではほとんどの場合は供託ではなく、保険の加入をしているのが現状です。
保険会社の設計施工基準がある
ほとんどの住宅事業者が供託ではなく、住宅瑕疵担保責任保険に加入している状況は実は非常に良いことでもあります。
住宅瑕疵担保責任保険を扱っている保険会社は、それぞれ保険に加入するための条件として「設計施工基準」を設けています。
以下は例になります。
あんしん住宅瑕疵保険
設計施工基準 Q&A…Q 1-1
設計施工基準とは何ですか。A 1-1
あんしん住宅瑕疵保険の「設計施工基準」は、あんしん住宅瑕疵保険の契約申し込みにあたり、保険申込者が遵守しなければならない設計施工に関する技術基準です。これは、保険申込者によるモラルハザードを防止し、保険制度の安定的経営を図ることを目的に定めています。
本基準の対象となるのは、保険申し込み住宅の主要構造と防水工事です。…
この設計施工基準を守って施工がなされていない場合には保険加入ができないため、法律違反となってしまいます。
保険会社は必ず新築住宅の建築途中に訪れ検査を行います。
つまり、建築途中に第三者としての保険会社が建築がしっかりとなされているかのチェックをしてくれる訳です。
消費者としては非常に安心な仕組みとなっています。
まとめ
住宅瑕疵担保責任保険法人の設けている設計施工基準が非常に良くできており、例えばこれのおかげで2009年からは外壁がサイディングである場合の直貼り工法がなくなり、通気工法が必須となりました。
直貼り工法の場合の問題点はここでは割愛しますが、この法律によって保険加入が実質的に義務付けられ、それによって全国で住宅の施工基準が統一された事は非常に素晴らしい取り組みであると思います。
2000年に施行された住宅品質確保促進法、そしてこの2009年に施行された住宅瑕疵担保履行法によって、事業者の手抜き工事によってせっかく購入した夢のマイホームの資産価値がなくなってしまうという最悪の事態は防ぐことができる体制が整えられているのです。
また外壁塗装の前に、外壁塗装の相場価格についても知っておきましょう。
正しい相場感を知っておくことで割高な料金支払わずに済みます。
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