外壁塗装の原価と業者の利益はどれぐらい?理解して正しく値引きを行おう
どんなビジネスにも「原価」という考え方があります。
いくらの初期投資に対してどれくらいの売り上げが発生するのかは、業者の利益に影響します。
では、外壁塗装の原価はどのくらいなのでしょうか?
原価をしれば、おのずと「これくらいまでは値引きしてもらってもいいのでは?」という値引きの限界もみえてくるでしょうね。
ここでは、外壁塗装の原価の仕組みを解剖していきましょう。
見積書からみる値引きの限界にも迫っていくので、少しでも安くて良質な外壁塗装工事を希望している方はぜひご覧ください。
~記事の前に~
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外壁塗装の原価はどれくらい?
世の中のビジネスには『原価率』という数値があります。
売り上げに対して原価がどれくらいの割合を占めているのか、つまりは収益性を示す数値なので、原価率が高ければ高いほど収益性が低くなってしまいます。
一般的に、原価率の適正範囲は30%が上限だといわれています。
すると、100万円の利益を生むためにかかる経費は30万円程度に抑えるべきだということになります。
では、実際に外壁塗装の工事をする場合、どのくらいの原価率になるのでしょうか?
外壁塗装の原価率は60%以上?
外壁塗装の原価率を解剖してみましょう。
・職人の人件費…30%
・塗料などの材料費…25%
・足場の外注費…10%
・営業マンの経費…15%
・会社の取り分…20%
この原価率の内訳は、ごく一般的な中小の塗装業者を例にしたものです。
外壁塗装でもっとも重要な人件費・材料費・足場代だけで65%を占めることになります。
先ほど「原価率は30%が上限」と説明しましたが、外壁塗装の原価率はそれどころではない高さですね。
実は、この原価率の高さは外壁塗装に限った話ではありません。
大工業や住宅のリフォーム業ではおおむね70%、内装業者に関しては80%を超えることもあるくらいですから、外壁塗装は住宅リフォーム業界では原価率が良いことになります。
外壁塗装の人件費の考え方
外壁塗装の人件費について考えていきましょう。
外壁塗装の原価の中でもっとも高いのは人件費です。
住宅リフォーム業界は、技術に対する価値が大きなウェイトを占める業界です。
製造業のように、商品の売り上げ÷(材料費+設備投資費)で機械的に算出できるものではありません。
多くの産業では人件費の削減がもっともカンタンでもっとも効果が高いコストダウン法だと考えられていますが、外壁塗装の業界では人件費は絶対に削減できないと考えるべきでしょう。
外壁塗装の人件費は、1日1人あたり1万5,000~2万円程度が相場です。
地方の給与水準によって多少の差はありますが、おおむねこの範囲におさまるでしょう。
外壁塗装の人件費は『人工(にんく)』で計算します。
1人の職人が1日でできる作業量を1人工とするので、1人が2日間作業しても、2人が1日だけで作業を済ませても、同じ2人工になります。
外壁塗装の各工程にかかる人工は、住宅の大きさや施工方法などによって差がありますが、平均的な人工は決まっていると考えても良いでしょう。
一般的な2階建て住宅の外壁塗装工事にかかる人工をまとめてみました。
工程 | 必要な人工 | 備考 |
---|---|---|
足場の敷設 | – | 外注するので人件費には含まない |
高圧洗浄 | 1 | 通常、1台の高圧洗浄機で施工するため1人工で計算する。 1人×1日または2人×0.5日 |
養生 | 2 | 2人×1日 |
下地調整 | 2~4 | サビ取り、穴埋めなどの他、コーキング補修などがあればさらに増え得ることもある。 2人×1~2日 |
外壁塗装 | 4~6 | 下塗り・中塗り・上塗りの三回塗り塗料が感想すると色の継ぎ目が目立つため、2人以上で同時に作業する。 2人×2~3日 ※タイル吹き付けなどの特殊な作業があればさらに2人工くらい増える |
屋根の塗装 | 4~6 | 下塗り・中塗り・上塗りの三回ン類、吹き付けだと作業時間が短縮できるが、瓦をローラーなどで手塗りすると縁切りも必要になるため、6人工は必要。 2人×2~3日 |
付帯部分の塗装 | 4 | 軒天・破風・雨樋など。 2人×2日 |
細部の手直し 養生の撤去 |
2 | 窓部の線出しなど細部の手直しと同時に養生を撤去。 2人×1日 |
足場の撤去 | – | 外注 |
このようにみると、一般的な住宅の外壁塗装工事では、約20~25人工の人件費がかかる計算になります。
これを人件費の単価に乗じると、工事価格全体の中で30~50万円程度が人件費になります。
外壁塗装の工事は請負契約なので、工事のあとから「これだけかかりました」と請求するのではなく、工事の前に「この見積もり価格で工事します」とお互いが納得して契約が成立します。
つまり、予定していた以上に工事が順調に進んで1日でも早く完成すれば、塗装業者は職人の日当を削減できることになります。
反対に工期が遅れてしまうと、余計な人件費がかかって会社の取り分が減ってしまうので、外壁塗装業者は工期にとてもシビアな面を持っているといえるでしょう。
外壁塗装の材料費の考え方
外壁塗料の材料費は、ほぼすべてが塗料の仕入れ代です。
塗料がないと外壁塗装はできないので、材料費も絶対に削ることができない原価のひとつになります。
ここで、もっとも一般的なシリコン樹脂系塗料を使って外壁塗装を施工した場合の材料費を例に挙げてみましょう。
施工場所 | 工程 | 材料名 | 価格 | 使用量 |
---|---|---|---|---|
外壁 | 下塗り | ニッペ アンダーフィラー | 1缶4,990円 | 5缶 |
中塗り | ニッペ オーデフレッシュSi100Ⅲ | 1缶17,900円 | 4缶 | |
上塗り | ||||
屋根 | 下塗り | ニッペ 1液ベストシーラー | 1缶11,900円 | 1~1.5缶 |
中塗り | ニッペ オーデフレッシュSi100Ⅲ | 1缶14,900円 | 2缶 | |
上塗り | 軒天・破風 | 下塗り | ニッペ 1液ベストシーラー | 1缶11,900円 | 0.5缶 |
中塗り | ニッペ 水性シリコンベストⅡ | 1缶14,900円 | 1缶 | |
上塗り | ||||
雨樋 | – | ニッペ ファインシリコンフレッシュ | 10,300円 | 硬化剤セット 1セット |
– | 希釈 | ニッペ 塗料用シンナー | 1缶5,490円 | 1缶 |
総計 | 180,840円 |
この工事で使用した塗料の総額は180,840円になりました。
このほか、塗装に使用するハケ・ローラー、養生テープやマスカー、下地補修用のコーキング材などを含めると、軽く20万円を超えるでしょう。
塗料のグレードを落とさずに材料費を安くする方法がある?
人件費とともに絶対に削れないのが材料費です。
塗料のランクを落とせば材料費はカンタンに安くできますが、耐用年数が落ちるため10年、20年、30年と長い期間でみたときのトータルコストがかさんでしまいます。
ここでたった一つだけ存在する材料費を削って安くする方法を紹介しましょう。
外壁塗装で材料費を安くするには、塗装業者が在庫として抱えている塗料を使ってもらうことです。
中小の塗装業者では、別の現場で使用して残った塗料の在庫が残っていることがあります。
塗装業者としては、すでに塗料店に支払いを終えているので早く材料費を売り上げに転換したいと考えています。
好みの色と塗装業者の在庫が合致すれば、ぜひ在庫で塗装して欲しいと頼んでみましょう。
材料費の割引きか、またはそのままの材料費でワンランク上の塗料を使ってもらえるかもしれませんよ。
足場の外注費の考え方
外壁塗装の現場では、外壁や屋根の高所も塗装することになります。
そのため、足場は絶対に欠かすことができません。
足場はたくさんの材料を使用するため専門の業者に外注するのが一般的です。
外注費の相場は、足場の敷設・解体を含めて15~20万円が相場ですが、こちらは足場業者にそのまま支払うため塗装業者には利益がありません。
まれに自社で足場材を所有している塗装業者があり、敷設・解体もすべて自社でやってしまうことがあります。
まだ塗装業者というジャンルが確立していなかった昔は、外壁全般のメンテナンスを一つの業者が受け持っていたので、今でも自社で足場工事をしている業者が残っています。
営業マンの経費の考え方
外壁塗装業者には、客先をまわって塗装工事を獲得してくる営業マンが存在します。
営業マンの活動には、営業マンの人件費や工事獲得のボーナス、客先への販促商材の購入費用や車両維持費などの経費がかかるため、営業マンの経費は削ることができません。
親方ひとりだけの個人の塗装業者では、営業マンを雇っていないのでこの部分のカットが期待できます。
会社の取り分の考え方
外壁塗装の工事代金には、塗装業者が会社を維持するにあたって必要な経費が含まれています。
事務員の給与、事務所の家賃やローン返済、工事用車両の維持費、コンプレッサーなど機械類の購入・メンテナンス、備品の購入など、会社運営の全般にかかる経費にあてるためです。
また、ホームページの運営維持、テレビ・ラジオ・チラシ・インターネットなどの広告費もここから捻出することになります。
つまり、会社の取り分は、塗装業者の規模が大きくなれば大きくなるほどたくさん必要になると考えれば良いでしょう。
新築を担当した大手のハウスメーカーなどに外壁塗装の工事を依頼すると、大手ハウスメーカー・中間の下請け業者・実際に施工する孫請け業者の各業者が取り分を維持するため、工事価格が高くなってしまいます。
原価からみる値引きの限界は?
どんな施主でも「質が良い工事をできるだけ安く」という希望を持っています。
ところが、外壁塗装の工事価格のうち60%以上は人件費・材料費・足場の外注費が占めているので、これをカットしてしまうと工事が前に進みません。
営業マンが絡んでいれば経費がかかっているし、会社の取り分も絶対に必要です。
こうしてみると、適正価格・適正工事でおこなわれる外壁塗装には、値引きできる要素がほとんどありません。
適正価格なら値引きの限界は10%程度
もし、見積書に記載されている価格が適正価格であるなら、絶対に削減できない原価を除いて、値引きの余裕は2点に絞られます。
・営業経費を削ってもらう
・会社の取り分を削ってもらう
まず考えやすいのは「営業経費を削ってもらう」ことでしょう。
営業努力によって獲得したのではなければ経費はほとんどかかっていないはずなので「少しでも安くしてもらいたい」と考えるなら施主自らが塗装業者にアプローチするべきでしょう。
訪問セールスや紹介などに頼っていると営業経費が計上されやすくなってしまうので、自分から積極的にアタックする気持ちで逆セールスをかければ値引きが期待できます。
次に考えられるのが「会社の取り分を削ってもらう」ことです。
会社の運営にコストがかかっていない塗装業者を選べば値引き交渉がしやすくなります。
・大がかりな事務所を抱えていない
・職人以外の事務職員はいない
・宣伝や広告などを使っていない
こんな業者は会社運営のランニングコストが安いため、会社の取り分を削ってもらえるかもしれません。
どちらにしても、見積書の価格から10%程度しか値引きはできないはずです。
大幅な値引きを求めると工事の質が低下する!
値引き交渉が上手な方は、相場が100~140万円という高額になる外壁塗装工事の値引き額が10%程度では「もっと値引きできるでしょ?」と言いたくもなるでしょうね。
しかし、10%を超える値引きを求めることは大きなリスクを伴います。
原価に食い込むような値引きを求められると、塗装業者は減価部分のコストダウンを強いられてしまいます。
・材料のランクを落として材料費を削減する
・塗料メーカー推奨の希釈度よりも塗料を薄めて使用する
・三度塗りが必要なのに二度塗りで済ませて人件費と材料費を削減する
・工期が延びるのを覚悟で親方ひとりだけで作業し、応援の職人を呼ばない
無理な値引きを強いられた塗装業者が工事を完成させるためには、材料や作業の質を落とすしかありません。
結果的に損をするのは施主ですから、原価を超えた値引きを求めることはおすすめしません。
大幅値引きの塗装業者は要注意!
訪問セールスの塗装業者の中には、大幅値引きをアピールしてくる業者がいます。
・本来なら180万円ですが、いまここで契約してくれたら50万円引きの130万円です
・このエリアで初の工事なので、50%オフします
・特別に足場代は無料にします
こんな出血大サービスには要注意です。
適正価格で見積もり価格が算出されているなら、50万円引きや50%オフなんてとんでもない大幅値引きは絶対に不可能です。
また「足場代を無料にします」というセールストークもよく聞きますが、足場代は外注費なので本来は無料にできる部分ではありません。
自社で足場を組める塗装業者でもない限り、外注になる足場代を塗装業者が肩代わりして負担することなんて絶対にないので、こんなセールストークを使ってくる業者は悪質業者のおそれがあります。
本当は大喜びしたくなるところですが、大幅な値引きやサービスには「裏がある」と考えて警戒しましょう。
下記の記事に外壁塗装の相場価格をまとめていますので、まずは相場をチェックしてみてください。
塗装業者が教える値引きのコツは?
塗装業者としては、原価を割った工事を受けるわけにはいきません。
とはいえ「絶対に値引きには応じられない」というわけでもありません。
たとえば、外壁塗装業界にはオフシーズンがあります。
まず1~2月は気温が低すぎて塗料の硬化が遅くなるため、あまりすすんで工事を受けたがらない塗装業者が多くなります。
また、6~7月は梅雨時期で雨の日が多くなり、予定どおりに工事が進みにくくなるので開店休業のような状態です。
こんな時期を選んで工事を依頼すれば、工事件数が少ない塗装業者は「ありがたいので少しばかり値引きしてもいいかな」という感情にもなるでしょうね。
また、先ほども紹介しましたが、塗装業者が塗料の在庫を抱えていれば処分価格で材料費を値引きしてくれることもあります。
いずれの方法でも、ポイントとなるのは「塗装業者とコミュニケーションを深めること」が大切。
遠慮なく疑問や要望を投げかけて、上手に値引きを引き出したいですね。
外壁塗装は原価に見合った適正価格の範囲内で値引き交渉を!
外壁塗装の見積書に記載されている工事価格の中には、絶対に削れない原価が含まれていることがご理解いただけたでしょう。
それと同時に、値引き交渉を成功させるポイントや悪質な業者を見抜くコツも理解できたはずです。
外壁塗装の見積書を取り寄せるときは、必ず複数の業者に依頼してそれぞれの内容を見比べるようにしましょう。
複数の見積書を見比べれば、ご自身のマイホームの塗り替えがどのくらいの価格で工事できるのかの適正価格が見えてくるはずです。
複数の塗装業者に見積もりを依頼する際は、ぜひ外壁塗装パートナーズをご利用ください。
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