ビルの外壁塗装にかかる費用は?塗装費用とオーナーが知っておくべき知識
ビルオーナーの方は、日ごろからビルの運営やメンテナンスに試行錯誤していることでしょう。
入居率を維持・向上させるための対策や、ビルが長持ちするようにといろいろな対策を考えていますよね。
そこで登場するのが外壁の塗り替えです。
長年の使用で色あせてしまい、見るからにオンボロな状態では、新規テナントの出店や事務所の入居などは期待できません。
ビルの外壁塗装には、古くなってしまったビルを再生させて、出店・入居を促進させる効果があります。
ここでは、ビルオーナーのみなさんが知っておくべき「ビルの外壁塗装」について、相場や考え方を解説していきます。
ビル以外も含めた、外壁塗装の一般的な相場価格を知りたいという方は以下の記事をご確認ください。
>>外壁塗装の費用相場は?単価、塗料、坪数別の価格表まとめ
ビルも定期的な塗り替えが必須!外壁塗装の重要性とは?
オフィスビルやテナントビル、雑居ビルとよばれるビルを所有しているオーナーの方は、何を目的にそのビルを所有しているのでしょう?
もちろん、ビジネスとして、ですよね。
店舗や事務所などが入居することで家賃収入を得るのが目的ですから、できるだけコストをかけずに多くの入居者で埋まるのが理想形です。
でも、ビル運営をビジネスとして成功させるためには、ある程度のコストを投じる必要がある場面にも遭遇するはず。
それがビルの外壁の塗り替えです。
外壁塗装というと、一戸建て住宅や居住用のマンションのイメージが強いかもしれませんが、非住宅のビルでも外壁のメンテナンスは必須です。
まずは、ビルオーナーのみなさんが知っておくべき、外壁塗装の重要性についてお話ししましょう。
ビルの外壁塗装が重要な理由①
建物を長持ちさせるため
外壁塗装には、建物を長持ちさせる効果があります。
ビルは鉄筋や鉄骨をコンクリートで覆う構造で建てられており、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造と呼ばれます。
鉄筋・鉄骨とコンクリートという建材は非常に強度が高いため、ビルの超重量にも耐えることができます。
ところが、鉄とコンクリートには「水分に弱い」という弱点があるため、建材を水分からガードする必要があります。
このガードの役割を果たすのが「塗装」です。
外壁に施された塗料は表面が硬化して「塗膜」を形成し、水分や日光から建材を守ってくれます。
外壁塗装が劣化してしまったビルは、水分がコンクリートに浸透し、内部の鉄筋・鉄骨をサビだらけにしてしまいます。
水分の浸食が進むと建材が朽ちてしまい、外壁の剥落、部分的な崩落などが発生し、最終的には大規模な修繕工事が必要になるでしょう。
外壁塗装は、ビル全体を塗膜のコーティングを復活させて、建物を長持ちさせてくれるので、将来的な修繕コストの削減にもつながります。
ビルの外壁塗装が重要な理由②
外観を良くするため
外壁塗装を施したビルは、まるで新築のころのような輝きを取り戻します。
ビルの外観が良くなると、物件の見学に来た入居希望者への印象が良くなるため、入居率アップに結び付くでしょう。
また、すでに入居している企業や店舗があれば、外観が整うことでビル管理がしっかりしていることをアピールできて、定着率の向上にも良い影響を与えてくれるはずです。
ビルの外壁塗装が重要な理由③
資産価値を高めるため
ビルの外壁を美しく塗り替えると、ビルの資産価値が高まります。
まったく同じ築年数で同じエリアに建つ、諸々の条件がほぼ同じビルであれば、資産価値は同等と考えられます。
ところが、一方は外壁のメンテナンスを長い間怠っていて色あせ・カビなどでボロボロ、もう一方は定期的な外壁の塗り替えをおこなって古いなりにも美しく保っているとすれば、どちらの価値が高くなるでしょう?
正解はもちろん「定期的なメンテナンスが行き届いたほうのビル」ですよね。
これは「美しければ高い値がつく」というカンタンな理屈のお話ではありません。
ビルの資産価値は時間が経つことによって確実に低下していきます。
この原則に従えば、立地条件などのプレミアがない限り、古いビルが新しいビルの価値を超えることは絶対にないということになります。
ところが、定期的な修繕の際に前回の修繕よりもさらに良い塗料を使うことで、経年によって価値が衰えた部分を穴埋めしていくと、資産価値の低下が抑えられます。
分譲マンションの長期修繕計画には、それまでの性能を回復させる「修繕」と、それまで以上の性能を持たせる「改良」、さらに修繕と改良を組み合わせた「改修」があります。
修繕として外壁塗装をおこなうケースも少なくありませんが、塗料のグレードアップなどで改良を目指すことで、ビルの資産価値を高めることができるのです。
ビルの外壁塗装、工事価格の費用相場
ビルの外壁塗装にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか?
外壁塗装の工事価格の相場をチェックしておきましょう。
ビルの外壁塗装の相場は300~1,500万円
ビルの外壁塗装の工事価格は、ビルの大きさ・高さ、塗装部分の面積、塗料のグレード、足場の敷設面積によって大きく差があります。
ここでは、ごく平均的なビルの外壁塗装の相場を一覧表にまとめてみました。
階層 | 外壁の塗装面積(㎡) | 工事価格の相場(万円) |
---|---|---|
3階建て | 700~800 | 300~400 |
4階建て | 950~1,050 | 350~500 |
5階建て | 1,200~1,300 | 450~650 |
6階建て | 1,500~1,600 | 550~800 |
7階建て | 1,900~2,000 | 650~950 |
8階建て | 2,200~2,300 | 700~1,200 |
9階建て | 2,400~2,500 | 800~1,400 |
10階建て | 2,500~2,600 | 900~1,500 |
ビルの塗装面積は、ビルの階層が高くなるにつれて増える傾向があります。
これは、低層のビルでは廊下部分などがオープンになって外壁に切れ間があるものが多く、高層になると前面が外壁に覆われて開口部が窓だけになっていくからです。
高層になると足場代が高くなるため、工事価格の相場が1,000万円を超えることもあります。
ここでは10階建てビルまでの相場を紹介しましたが、さらに高層のビルでは、階層が増すごとに工事価格も高くなります。
一般住宅の外壁塗装とは相場がかけはなれていますが、ビルの外壁塗装は特殊で手間もかかります。
さらに、工事価格が500万円を超えると建設業許可が必要となり、工事にあたって書類の提出などが義務付けられているため事務的な工数も増えてしまうのです。
ビルの外壁塗装の工法
ビルの外壁塗装でも、一般住宅と同じように周囲に足場を組んで塗装工事をおこないます。
一般住宅よりも背が高い足場になり、強度が高く接続部がガッチリとした足場が求められるため、ビル用の足場を専門に扱う業者に足場工事を依頼することになります。
足場は横の広さよりも縦の高さが増すほうが値段が高くなるため、背が高いビルの足場工事費は非常に高くなります。
周囲の条件などにもよりますが、5階建てのビルで150~200万円程度の足場代がかかると考えておけばよいでしょう。
一般住宅の足場代の相場が15~20万円程度であることと比べると、格段に高いことになります。
また、ビルは市街地の歩道ギリギリの位置までせり出していることが多いため、足場が歩道や道路にかかってしまうことが多くなります。
この場合、官公庁に道路使用許可の届け出を提出して許可を受ける必要があり、警備員の配置などを義務付けられれば余計な人件費もかかってさらに工事費が高くなります。
しかも、せっかく高いお金を出して足場を組むのなら、外壁塗装だけでなく外壁の修繕や防水工事もあわせて済ませておきたいところですが、あれこれと工事を追加すると工期が長くなります。
足場の資材はレンタルのようなものなので、つまり足場を設置している期間が長くなればそれだけ足場代も高くなるという寸法です。
それでも「足場代さえ払えば足場が建てられる」ならまだマシなほうで、市街地では隣接するビルとのすき間が1mもなく、足場を組めないケースも珍しくありません。
こういった事情から、ビルの外壁塗装では、足場を組まない「無足場工法」が好まれています。
無足場工法では、その名のとおり足場を組みません。
ゴンドラを吊り下げるか、または専用の吊り下げロープでぶら下がって作業します。
無足場工法に対応できる塗装業者では、高額な足場の外注費が削られる分だけ塗装の単価が高くなりますが、それでも足場代を支払うよりはずっと安くなります。
ビル周囲の状況や同時におこなう工事の内容によっては、無足場工法に対応できる塗装業者を選ぶことでコストが大幅に削減できると心得ておきましょう。
ビルの外壁塗装に使用する塗料
ビルの外壁塗装に使用する塗料は3種類だと考えて良いでしょう。
・ウレタン樹脂塗料
・シリコン樹脂塗料
・フッ素樹脂塗料
それぞれの塗料の特徴や塗装価格の相場を説明します。
ウレタン樹脂塗料
ウレタン樹脂塗料は外壁塗装で使用する塗料のなかでも下の上といったグレードの塗料です。
建材との密着性が高く、ほかの塗料と比べると防水性が非常に高いというメリットがあります。
ただし、耐久性が低く、耐用年数は8~12年と短めです。
背が高く風雨や直射日光を強く受けてしまうビルでは塗膜の老朽化は早まるでしょう。
また、ウレタン樹脂塗料は、木材が数多く使用されている一般住宅には安価な塗料としてある程度は重宝されますが、コンクリート質が多いビルには不向きです。
塗装の単価は1㎡あたり1,800~2,000円が相場です。
ほかのグレードの塗料よりもかなり単価が安いので、10年以内に塗り替えをするつもりで考えておきましょう。
シリコン樹脂塗料
ビルの外壁塗装でもっとも多く使用されているのがシリコン樹脂塗料です。
耐候性が高いため、風雨や直射日光にさらされることが多いビルにはうってつけのグレードでしょう。
シリコン樹脂塗料は光沢感が強く、見た目にもツヤっぽさを感じやすい塗料です。
ツヤが強いということは塗膜の表面が非常になめらかな証拠で、塗装の表面に汚れが付きにくく、長く美しい状態を保つことができます。
耐用年数は10~15年で、品質と耐用年数のバランスが良いため、導入のしやすさもバツグンです。
塗装単価は1㎡あたり2,500~3,000円で、耐用年数が長いことを考えると非常にコストパフォーマンスに優れています。
一点だけデメリットがあるとすれば、塗膜が硬いことです。
ビル外壁の主材であるコンクリートは熱によって水分が蒸発することで収縮を起こしやすいという性質があります。
ビルの外壁にはコンクリートの収縮による力を逃すための目地が設けられていますが、目地のコーキングが劣化してしまうとコンクリートの収縮は力の逃げ場を失い、ひび割れが発生します。
コンクリートの収縮ひび割れに伴って、硬い塗膜を持つシリコン樹脂塗料はひび割れを起こします。
シリコン樹脂塗料を採用する際は、特に目地コーキングの劣化にも配慮する必要がありますが、目地コーキングの耐用年数は7~10年程度。
つまり、シリコン樹脂塗料の耐用年数と目地コーキングの耐用年数が合致しないため、メンテナンスの手間が増えてしまうでしょう。
フッ素樹脂塗料
ビルの外壁塗装で使用される塗料のうち、ハイグレードな塗料として位置づけられているのがフッ素樹脂塗料です。
耐久性・耐候性が高く、ツヤもあって汚れに強いという非常に優れた性能を持っています。
特に「汚れに強い」という点は、細かなメンテナンスが難しいタワーマンションなどの超高層ビルにとって最大のメリットになるので、フッ素樹脂塗料はビル塗装に積極的に採用されています。
また、フッ素樹脂塗料の耐用年数は15~20年と非常に長いため、外壁の塗り替え回数を減らすこともできます。
ビルの外壁塗装にとってはもっとも適している塗料だといえるフッ素樹脂塗料ですが、一点だけ問題を抱えています。
それは価格が高いという点です。
フッ素樹脂塗料の塗装単価は1㎡あたり3,500~4,000円が相場。
ウレタン樹脂塗料と比べると2倍の費用がかかる計算になります。
外壁塗装のたびに高い足場代を支払うことになると考えると、塗り替え回数を減らすことでトータルコストの削減には効果が期待できます。
それでも、一度の工事価格が格段に高くなるので、フッ素樹脂塗料を採用することに抵抗があるビルオーナーは多いようです。
ラジカル塗料という新しい選択肢もある
以前までのビル塗装では、ウレタン・シリコン・フッ素の3種類から塗料を選択していました。
ところが、ここ数年でその流れに変化が生じています。
塗料の新しい選択肢としてラジカル塗料を採用したビルが増えているのです。
ラジカル塗料とは、正しくはラジカル制御型塗料と呼ばれるもので、塗料の成分中の化学反応を抑えて劣化を防ぐ塗料です。
2012年に登場したばかりですが、シリコン樹脂塗料を上回る性能がありながらコスト面ではフッ素樹脂塗料よりも安いため人気が高まっています。
耐用年数は10~15年とシリコン樹脂塗料と差はありませんが、シリコン樹脂塗料よりもさらに対候性が高いという魅力があります。
塗装単価も1㎡あたり3,000~3,500円が相場で、フッ素樹脂塗料よりもかなり安く抑えることができます。
ただし、実際に施工されてまだ7年以内なので施工実績が少ないことと、やや色味が淡い系統のカラーバリエーションで展開されているため、色の好みに合わないことがあるというデメリットがあります。
淡色系の仕上がりをイメージしていて、より高性能な塗料をリーズナブルに塗装したいと考えているビルオーナーにはおすすめだといえるでしょう。
ビルの外壁塗装はビル塗装に精通した塗装業者に依頼しよう
ビルの外壁塗装について詳しく解説しましたが、一般住宅の外壁塗装と違った点が多いことがご理解いただけたでしょう。
ビルの外壁塗装は、ビル塗装に精通しており実績が豊富な専門業者に依頼するのがおすすめです。
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