木材・木部の外壁塗装のポイントは?木材に使える塗料など徹底解説
モダンでスタイリッシュな住宅もいいけど、やはりマイホームには『温もり』を求めたいという方は少なくありません。
そして、温もりのある住宅の象徴ともいえる材料が『木』です。
木造の外壁、木材がむき出しになった柱などは、住む人に安らぎを与えてくれます。
ただし、木材がふんだんに使用された住宅は、ほかの建築材料を使用した住宅よりもメンテナンスに気を使う必要があることを忘れてはいけません。
特に、外壁に木材を採用している住宅では、メンテナンスを怠ってしまうと見るも無残な姿に変わってしまうことがあるのです。
木造の外壁を持つ住宅にお住まいの方のために、木材・木部の外壁塗装のポイントを紹介しましょう。
木材は3~5年での塗り替えが基本!
外壁塗装は「10年に一度は塗り替えを検討するべき」だといわれています。
これは、現在の住宅で主に使用されているモルタル・サイディングなどの外壁材に上塗りする『塗料』のコーティング効果が10年前後で劣化してしまうためです。
では、木造の外壁の場合はどうなるのかというと、実は3~5年という早い周期で塗り替えが必要になります。
モルタル・サイディングの外壁と比較すると耐用年数が非常に短く、憧れとは裏腹なメンテナンスの手間に苦労するのは必至でしょう。
塗り替えを怠った木材はどうなる?
実に早い周期で塗り替えのタイミングが訪れる木造の外壁ですが、もし塗り替えを怠ってしまうとどうなるのでしょうか?
塗り替えを怠った材木は、あっという間に色味が抜けてしまい白っぽくなります。
たとえば、新築時は真っ黒でシックな印象があった板材の木造外壁でも、5年もすれば黒味はすっかりなくなってしまい、木材の素地とほとんど変わらない状態になってしまいます。
さらに時間が経過すると、強い日差しや風雨にさらされた材木がやせてしまいます。
やせてしまった木材は薄くなり、反り返って固定のために打ち込まれた釘が抜けて、端々が浮いた状態になるのです。
こうなってしまうと、見た目の良し悪し以前に外壁としての用をなしていない状態になります。
さらに、この状態になってもなお放置してしまうと、水分を含んだ材木が腐ってしまいます。
腐敗した材木がそのまま残存していると、害虫の巣となり、壁内の損傷を招くことに。
結果、外壁だけでなく内壁や柱の腐敗を招き、住宅の寿命を縮めてしまうのです。
定期的なメンテナンスを繰り返せば『味』のある外壁に変化する
メンテナンスの手間がかかり、しかもメンテナンスを怠ると住宅の寿命を短くしてしまうというのですから、木材の外壁はほかの住宅材料よりも劣っているように感じるでしょう。
しかし、定期的なメンテナンスを繰り返した木造の材木は、時間の経過とともにほかの外壁材とは比較できないほどの独特な『味』を醸し出すようになります。
しかも、塗り替えを幾度か重ねた木材は、徐々に塗料の耐久性が高まるため、段々とメンテナンスの手間が楽になってきます。
最初の10年間は3年おきのメンテナンスが望ましいとされますが、10年間に3回の塗り替えを施していれば、次は5~7年程度で良いでしょう。
メンテナンスを繰り返すうちに、木材は徐々に深い味わいが感じられるようになり、単に古いのではなく良質な熟成感を演出するのです。
新築のときは初々しさがあり、時とともに熟成される。
これが木造の外壁だけが持つ贅沢な特権なのです。
木造外壁の塗り替えに使う塗料
木造の外壁の塗り替えに使う塗料にはいくつかの種類がありますが、大きくは『浸透タイプ』と『造膜タイプ』の2種類にわかれます。
いったい、どんな特徴があって、どのように使い分けるのでしょうか?
木目を活かすなら『浸透タイプ』
木材が持つ魅力のひとつとして『木目』が挙げられます。
木は成長とともに太い幹に年輪を刻みますが、その断面が『木目』という自然な模様となって独特な温もりを醸し出すのです。
せっかく木材を採用するのであれば、やはり自然な木目は消さないようにしたいと感じる方も多いでしょう。
木目を活かす場合、塗料は『浸透タイプ』を使います。
浸透タイプとは、その名のとおり木材の内部にまで浸透する塗料のことです。
外壁塗装といえば、建築材料の表面を塗り整えるイメージがあるでしょう。
ところが、浸透タイプの塗料は表面を塗り整えるのではなく、内部にまで浸透して表面を染めるイメージで塗装します。
本来、外壁塗装において「塗料が吸収される」という状態は好ましくありません。
色ムラの原因になるし、塗膜によるコーティング効果が期待できないからです。
しかし、木材の表面に刻まれた木目を消さないためには、表面を塗り整えるわけにはいきません。
そこで、木材に浸透することで染色する塗料を使うというわけです。
浸透タイプで特に注意すべきポイント
浸透タイプは木材の内部にまで浸透するので、木材の表面に『塗膜』を形成しません。
つまり、塗料の色には染まってはいるものの、木材そのものが外気に触れた状態になります。
浸透タイプの塗料には吸水を防ぐ効果や防腐・防カビの効果もありますが、やはり塗膜によるコーティングほどの効果は期待できません。
「どうしても木目は残したいが、コーティング効果も欲しい!」という場合は、浸透タイプの上からクリア塗料を塗装するという方法もあります。
ただし、次回の塗装ではクリア塗料を完全に除去する必要があるため、おすすめはできません。
また、浸透タイプは塗膜を形成しないため、表面がツヤを発することはありません。
「塗りたてなのに、どこかパッとしない」といった印象を受けることは覚悟しておいたほうが良いでしょう。
浸透タイプでは重ね塗りが3回を超えることもある
浸透タイプを使用する場合、最低でも3回の重ね塗りが必須となります。
「最低3回」ですから、3回でも色味が悪い場合は4~5回塗装することもあるわけです。
モルタルやサイディングの場合は下塗り・中塗り・上塗りの三度塗りが基本ですが、浸透タイプでは3回を超えることがあるので、手間がかかる塗装だといえるでしょう。
ただし、二度目以降は木材の内部に浸透した塗料が徐々に重なるため、初回よりも二度目、二度目よりも三度目のほうが塗料の吸い込みが弱くなります。
塗り替え回数が三度目を超えてくると、3回で十分に発色するようになります。
耐久性を高めるなら『造膜タイプ』
造膜タイプも読んで字のごとくで「塗膜を形成する」塗料を指します。
こちらは浸透タイプと違って木材の表面で塗膜を形成するため、ほかの建築材料を塗り替える場合と同じくコーティング効果によって木材を保護します。
コーティングをしているおかげで耐水性が高く、木材の劣化をしっかりと防いでくれます。
造膜タイプは木目が消える
造膜タイプでは、木材の表面に塗膜を形成するため『木目』が消えてしまいます。
もし、長持ちすることよりも木材の自然な風合いを尊重したいと考えるのであれば、造膜タイプは避けたほうが良いでしょう。
「造膜タイプがいいが、どうしても木目を残したい」という方は、透明のクリア仕上げや半透明の着色仕上げの製品もあります。
先ほど、「浸透タイプ+クリア」はおすすめできないと説明しましたが、造膜タイプのクリア仕上げ・着色仕上げなら、木目を残しながらコーティング効果を持たせることができます。
実は、塗り替えも二度目や三度目になってくると、いくらメンテナンスを徹底していてもだんだんと木材がやせてきます。
やせた木材は、年輪の『目』の部分を残してやせるため、表面に凹凸が生まれます。
すると、いくら造膜タイプの塗料を塗っても、物理的に段差があるのですから、凹凸部が木目を生み出すことになるわけです。
本来は木材がやせてしまうのは好ましくありませんが、以前は浸透タイプを使っていてわずかにやせてしまったのであれば、次回は通常の造膜タイプでコーティングしながら木目を出すといった小技もあります。
ただし、木材がやせてしまうと反り・浮きを引き起こすため、限度を超えて木材がやせているような場合では張り替えを検討したほうが賢明でしょう。
木材専用塗料『キシラデコール』とは?その他の塗料もチェック!
木材の塗装を塗装業者に依頼すると、たびたび『キシラ』という用語を耳にすることになります。
キシラとは、大阪ガスケミカル株式会社が販売している『キシラデコール(Xyladecor) 』という塗料の略称です。
各塗料メーカーからも木材塗装用の塗料が販売されていますが、国内ではこのキシラデコールのシェアが50%を超えており、すでに木材用塗料の代名詞として定着しています。
外壁塗装の職人の中には、木材用の塗料のことを総じて『キシラ』と呼ぶ人までもがいるくらいです。
キシラデコールには、標準色として18種類のカラーバリエーションがあり、基本色同士を混合することで色味に変化がつけられます。
材木は同じ種類のものを使っても産地や製材後の年数、さらに個体差によっても素材そのものが持つ色味が異なるため、調色可能であることは非常に魅力的です。
また、キシラデコールには浸透タイプのほか、造膜タイプの『キシラデコールコンゾラン』の両方がラインナップされているため、好みに応じて使い分けが可能です。
また、キシラデコールの基本製品はシンナーを使用した溶剤系塗料ですが、独特なニオイがあるため抵抗がある方も少なくありません。
最近では、主成分が水で、しかも高濃度の顔料を配合することで発色を強めた水性の『キシラデコールアクオステージ 』も販売されています。
「溶剤系はニオイや健康への被害が気になる」という方は、こちらの使用がおすすめです。
キシラデコール以外の木材専用塗料一覧
キシラデコール以外の木材専用塗料については、次の表にまとめてみました。
タイプ | 製品名/メーカー | 特徴 |
---|---|---|
浸透タイプ | 木部保護塗料 (カンペハピオ) |
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サドリンクラシック (玄々化学工業) |
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ステンプルーフ (コシイプレザービング) |
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造膜タイプ | ガードラックアクア 和信化学工業 |
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オリンピックマキシマム (PPGインダストリーズ) |
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サドリンエナメル (玄々化学工業) |
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木造の外壁や木部を塗装する際の手順
木造の外壁や、破風(はふ)などの木部を塗装する際の手順を紹介しましょう。
木材塗装は次の流れでおこなわれます。
- 洗浄
- 乾燥
- 下地調整、ケレン作業
- 塗装
②洗浄で汚れを落とす
通常の外壁塗装の場合と同じく、まずは水による洗浄で表面の汚れを落とします。
ただし、モルタルやサイディングのように、強い水圧で洗浄するのは厳禁です。
高圧洗浄機から放出される水は、ガソリンスタンドに設置されている洗車機の数倍の威力があります。
誤って手や足に当たればハンマーで叩いたかのような衝撃を受けるくらいですから、木材に当たってしまうと破損します。
低めの水圧で、表面の土やホコリを流す程度にとどめておくのがコツです。
②十分に乾燥させる
通常の外壁塗装でも、高圧洗浄のあとはいきなり塗装せず、中1~2日程度の乾燥期間を設けますが、木材の場合は最低でも3日、標準的に5日程度はしっかりと乾燥させます。
天気が悪い、湿気が多い、温度が低いといった条件があれば、1週間を超えて乾燥させることもあります。
木材は水の吸収率が高いので、しっかりと乾燥させないと施工不良につながります。
特に浸透タイプの塗料を使用する場合は、木材がカラカラに乾いているほうが好条件となるため、十分な乾燥期間を空ける必要があります。
③下地調整・ケレン作業は徹底的に!
木材塗装でもっとも力をいれるべき工程が、この下地調整とケレン作業です。
モルタルやサイディングの外壁では、高圧洗浄でほとんどの汚れやカビ・コケが除去できますが、木材は損傷を防ぐために高圧洗浄ができません。
そのため、乾燥後に手作業で汚れ・カビ・コケをしっかりと除去する必要があります。
ペーパーサンダー(紙やすり)や研磨用のスポンジなどを使って、丁寧に汚れを落とします。
浸透タイプでは、塗膜を形成しないためしっかり汚れを落とさないとごまかしがききません。
造膜タイプでも、塗料の密着を高めるためには下地調整が必須です。
この工程は、一見すると地味ではありますが、実際に塗装を施す工程よりもずっと重要で手間がかかります。
④塗装は浸透・造膜によって工程が異なる
下地が整ったら塗装を始めますが、塗装の工程は浸透タイプ・造膜タイプによって異なります。
まず、浸透タイプでは下地塗装をおこなわず、そのまま塗料を塗っていきます。
1回目はあっという間に塗料が吸い込まれてしまいますが、すぐに2回目を塗装すれば表面にも色味がついてくるでしょう。
3回目になればしっかりと色味が感じられるはずですが、それでも吸い込みが強ければ4回目、5回目と塗り重ねることになります。
造膜タイプでは、木材が塗料を吸い込まないように下地材としてシーラーを塗装します。
シーラーには、塗料の吸い込みを防ぐだけでなく、木材と塗料の密着を高める機能があります。
シーラーを塗装したのち、中塗り・上塗りの合計三度塗りで完成です。
造膜タイプでも、シーラー不要の二度塗りや、一発のみでしっかりと色が定着する製品もあります。
どのタイプの塗料を使うのかは塗装業者によって異なりますが、見積もりの段階でしっかりと現場を確認してくれて、木材の状態にマッチした塗料を使ってくれる塗装業者を選びたいですね。
木造の外壁を塗り替えるなら、経験豊富な塗装業者にお任せを!
一面が木材の板張りになっている外壁などは、自然な風合いや温かみがある反面、メンテナンスが難しくて手間もかかります。
しかし、適切なメンテナンスを繰り返していれば、ほかの外壁材にはない独特な『味』を感じられるので、ぜひ時間とともに熟成した木材の魅力を実感していただきたいものです。
木造の外壁だけでなく、破風やウッドデッキなど、住宅には木材の塗装が必要な部分がたくさんあります。
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