外壁塗装は下塗りが超重要!3つの理由と下塗り材の種類を徹底解説
あなたはDIYで塀や壁を塗装した経験がありますか?
もし経験がなければ、小学生のころに誰もが経験しているはずの図画工作で木や紙粘土で作ったものに絵の具を塗ったときのことを思い出してください。
お世辞にも「均一に色がついた」とか「美しく仕上がった」とはいえない出来栄えだったはずです。
その原因は、『下塗り』をしていないからです。
もちろん、図画工作では仕上がりの美しさまでは求められないし、DIYならある程度は妥協があるはずですが、住宅の外壁塗装ではそうはいきません。
外壁塗装の出来栄え、仕上がりの美しさを大きく左右する『下塗り』について、なぜ下塗りが重要なのかの理由や、下塗りに使う塗料の種類などを徹底解説します。
今回の内容は、住宅の外壁塗装だけでなく、DIYなどでも役に立つのでぜひポイントをつかんでください!
外壁塗装では下塗りが超重要な3つの理由
外壁塗装の基本は「三度塗り」です。
- 下塗り
- 中塗り
- 上塗り
この三度の重ね塗りをおこなって、はじめて塗料メーカーが想定する保護機能や発色・ツヤが発揮できます。
三度塗りの中でも素人目には「これ、意味あるの?」と思われがちな『下塗り』ですが、下塗りがしっかりしていないと、外壁塗装は絶対に成功しないと断言します。
なぜ外壁塗装には下塗りが重要なのでしょうか?
そこには、3つの理由があります。
下塗りが必要な理由①
下地と塗料の密着度を高めるため
下塗りで使用する塗料には、下地と塗料の密着度を高める効果があります。
下地というのは建築材料の表面という意味で「これから塗装をするぞ」という面のことを指します。
冒頭でDIYや図画工作を例に挙げましたが、木や紙粘土に絵の具を塗ったとき、どんな現象が起きたか覚えていますか?
きっと、木や紙粘土が絵の具を吸い込んでしまって「なかなか色が付かないなぁ」と困り、ついには絵の具を水で溶かないまま塗って、ベタベタとした仕上がりになったはずです。
この不具合は、下地の「吸い込み」によって引き起こされています。
また、これとは反対に「はじき」という現象もあります。
プラスチックやビニールに絵の具をのせようとしても、水をはじくように塗料もはじかれたはずです。
この「吸い込み」や「はじき」が外壁塗装で起きてしまうと、色のムラや発色不良を起こす原因になります。
そこで、下地と上塗りの塗料がしっかりと密着できるように、下地の表面に塗料の膜を作ります。
よく女性のメイクで「ノリが悪い」といいますが、下塗りには「ノリを良くする効果がある」と考えれば理解しやすいでしょう。
下塗りが必要な理由②
下地を保護するため
外壁の下地は、それまで長い時間をかけて強い日光や厳しい風雨にさらされてきたので、ひび割れや剥がれが起きやすくなっています。
遠目でみるとなかなか気づきませんが、築後20年も経てば『クラック』と呼ばれる小さなひび割れがたくさんあることに気づくはずです。
下塗りをすることで密着度が高まると、ひび割れや剥がれが起きにくい表面が形成されます。
また、小さなひび割れ程度なら下塗り塗料がすき間を埋めてくれるので、下地の表面が保護される効果が期待できます。
下塗りが必要な理由③
美しく仕上げるため
下塗りをしていないと、外壁塗装は美しく仕上がりません。
下塗りをすることで、吸い込みやはじきを防ぐことで上塗り塗料が均一に塗布されて、色ムラや発色不良が起きにくくなります。
また、下塗り用の塗料は、無色透明のほか、白や薄いグレーをしているものがあります。
濃い色の下地に薄い色調の塗料を塗装すると、下地の色が透けてしまい、思っていたよりも暗い色に仕上がってしまいます。
下地の色を白や薄いグレーに統一することで、上塗り塗料の発色を邪魔しない下地色への調整が可能になるのです。
さらに、下地の表面を平滑化することで上塗り塗料も美しい平滑面となり、光の反射が安定して美しく均一なツヤを発するようになります。
下塗りで使用する塗料は3種類
下塗りで使用する塗料は、大きく分けると3種類に分類されます。
- シーラー
- プライマー
- フィラー
この3種類は、対象の下地や上塗りの塗料の種類によって使い分けることになります。
下塗り塗料①
シーラー
シーラーとは、主に下地による吸い込みを防ぐための下塗り塗料です。
「接着する、ふさぐ」という意味を持つSealを語源にもちます。
さらっとした水のような質感があり、ローラーやハケに含ませるとポタポタと滴が落ちるほど粘性が低い塗料です。
色は無色透明か、やや乳白色を帯びています。
シーラーは下地と上塗り塗料の密着度を高める性能に優れていて、モルタル・サイディングのどちらでも使用できます。
下塗り塗料②
プライマー
プライマーとは英語で「最初の」という意味になるPrimaryが語源になっていて、総じて「最初に塗る塗料」という意味合いを持っています。
シーラーと同じように透明がかった下塗り塗料ですが、シーラーよりも粘性は高く、下地への浸透能力は高くありません。
主に金属面に使用されるもので、非常に高い接着性を持っています。
また、金属面に使用されるという特徴から、防錆性をもつ顔料を配合してサビ止め効果をもたせたものもあります。
一般的に「サビ止め塗料」と呼ばれるのは、実は防錆性があるプライマーのことを指しています。
下塗り塗料③
フィラー
フィラーとは、粘性が高く厚塗りが可能な下塗り塗料です。
Fillerとは「詰め物」や「充填材」といった意味があります。
乾燥して完全に硬化してもカチカチの硬い表面を形成するのではなく、指で押すとわずかに反発力を持つ、非常に硬いゴム質のような状態になります。
この特性のおかげで、小さなクラックがあってもすき間に入り込んで埋めてくれるので、下地の補修効果も兼ねてくれます。
しかも、フィラーが有効になっている間は新たにクラックが起きてもすき間をうめてくれるので、下地の強化が可能になります。
フィラーは粘性が高いため、硬くて目が粗いスポンジ状の『マスチック(砂骨)ローラー』という道具をつかって塗装すると、細かなさざ波のような模様を描くことができます。
エアーコンプレッサーを使って玉状に吹き付ければ『タイル』という意匠性が高い模様を作り出すこともできます。
下地と下塗り塗料の相性が重要!
3種類の下塗り塗料は、塗装をする下地の性質によって使い分けます。
種類 | 使用できる外壁材 |
---|---|
シーラー | モルタルやコンクリート、木部、窯業系サイディング等 |
プライマー | 金属系サイディングやトタン等。屋根にも用いられる |
フィラー | モルタル(リシンやスタッコ等) |
フィラーで気をつけておきたいのが、窯業系サイディングには絶対に塗装してはいけないということです。
窯業系サイディングにフィラーを塗装してしまうと、サイディングが発する熱によってフィラーの層が水膨れのようになって破れてしまいます。
サイディングの塗り替えに対して塗料メーカーさえもが知識を持っていなかった20年くらい前までは多発していた施工不良の代表例ですが、最近はノウハウが広まったため、窯業系サイディングにフィラーを塗装する塗装業者はいないはずです。
下塗り塗料と上塗り塗料の相性も重要!
下地とマッチした下塗り塗料を使うのは外壁塗装の鉄則ですが、さらに下塗り塗料は「上塗り塗料との相性」にも気をつける必要があります。
たとえば、シーラーには大きく分けると3つの種類があります。
- 合成樹脂エマルジョン型シーラー
- 熱可塑性合成樹脂系溶液型シーラー
- 溶剤型熱硬化性合成樹脂シーラー
シーラーの名称を覚える必要はまったくありませんが、ここで注目したいのは合成樹脂エマルジョン型シーラーが水を主材とした『水性タイプ』で、残りの2つはシンナーを高配合した『溶剤系(油性)タイプ』であることです。
水性の下塗り塗料を使用した場合、上塗り塗料に溶剤系の塗料を使ってしまうと、下塗り塗料の層を上塗り塗料が溶かしてしまい、施工不良を起こします。
その反対で、溶剤系のシーラーの上に水性の上塗り塗料を使うと、今度は下塗り塗料の溶剤の成分と水性の成分が反発してしまって、上塗り塗料がはじかれてしまいます。
下塗り塗料と上塗り塗料の関係は「下塗り塗料が水性なら上塗り塗料も水性」が基本です。
もちろん、溶剤系の下塗り塗料には溶剤系の上塗り塗料を使います。
本当に効果的な外壁塗装を目指すのであれば、こういった塗料の知識もしっかりと勉強している塗装業者にお任せするのがベストでしょう。
下塗り塗料の一覧表でおさらいしてみよう
ここまでの解説で、下塗り塗料のことはひととおり説明できました。
最後に、下塗り塗料についてまとめた一覧表を見ておきましょう。
一覧表には実際に外壁塗装の職人が現場で好んで使用している腫瘍メーカーの製品名も記載したので、あわせてご覧ください。
特徴 | マッチする下地 | 主要メーカーの製品名 | |
---|---|---|---|
シーラー | ・下地に浸透し密着度を高める ・無色透明または白・乳白色 ・粘性が弱く水状 |
モルタル、コンクリート、窯業系サイディング、木 | 【日本ペイント】 水性カチオンシーラー、水性ファインシーラー |
プライマー | ・金属質の面の密着度を高める ・無色透明の水状が多い ・水状だがシーラーよりも粘性が強い ・浸透性を強化したタイプもある |
トタン、ガルバリウム鋼板、鉄銅板 | 【関西ペイント】RSプライマー 【大日本塗料】D21プライマー速乾 |
フィラー | ・粘性が強く硬化しても弾力がある ・クラックなどを埋めて補修する効果がある ・粘性が高いため下塗り面に模様を施すことができる ※窯業系サイディングへの塗装は不可 |
モルタル、コンクリート | 【日本ペイント】アンダーフィラーエクセル 【関西ペイント】RSフィラー、アレスダイナミックフィラー |
下塗り塗料には、ここで解説した3種類のほかにも『サーフェイサー(サーフェサー・サーフ)』というものもあります。
下地に塗装するものではありますが、プライマーの下塗り層の上に塗装することで凹凸をカバーする調整材なので、正確には中塗り塗料です。
また、プライマー+サーフェイサーという手間を省くため、両方の性能を合体させて一度の塗装で済ませる『プラサフ』も存在しています。
下塗りの効果を高める『下地調整』
下塗りは外壁塗装のベースですから、下塗りを始める前にまずは下地の準備をしっかりと整えておく必要があります。
高圧洗浄で汚れやホコリ・コケ・カビを落とし、カビやサビに侵されている面は紙やすりでケレンするといった下地調整の作業は必須です。
下地調整を怠ると、どんなに密着度が高い下塗り塗料でも下地から剥がれてしまうおそれがあります。
外壁塗装の工事が始まると、つい「まだ塗装しないのかな…」と工程を見守ってしまいますが、実は「なかなか塗装が始まらない」くらいの塗装業者のほうが美しく効果的な仕上がりになります。
下塗りを徹底してくれる塗装業者に出会いたい!
下塗りは、一見すると地味な工程ですが『超』がつくほど重要な工程であることは十分にご理解いただけたでしょう。
外壁塗装の効果を十分に発揮させるには、下地との相性や上塗り塗料との相性など、塗料の知識をしっかりと理解したうえでベストマッチするものを選ぶ必要があります。
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