外壁塗装は20年経過したら点検必須!外壁の耐用年数や20年持つ塗料も解説
外壁塗装には耐用年数といったものがあります。一度外壁塗装をしたからといって、永遠にその塗装が続くわけではありません。
今回は外壁塗装の耐用年数の目安や、長持ちする壁材や塗料について解説します。
外壁塗装を20年やっていない方はすぐに検討するべき
外壁塗装の耐用年数は塗料によって変化します。
実際にどの塗料が長持ちするかなどは後述しますが、大体20年以上も持たないものが多いため、20年も外壁塗装を行っていない場合は、早急に外壁塗装の依頼を検討するべきであると言えます。
実際に、「外壁塗装パートナーズ」が過去3285名の面談をもとにして算出したデータでは、約9割の型が20年以内に見積もりや業者からの点検を実施するアクションをおこなっていました。
建築物の経年劣化に伴うメンテナンスの必要性について、ハウスメーカー次第では長期保証で20年以上無償メンテナンスを行ってくれるところもあります。
しかし、定期メンテナンスとはいっても、家全体を見てくれるわけではありません。
あくまで構造部などが保証の対象であり、外壁や屋根の塗装などは対象外で有償で依頼をしなければならないため、外壁塗装は耐用年数限界を迎える前に塗装会社へ依頼するのが理想です。
塗料別の耐用年数
外壁塗装に使われる塗料には、アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素などの種類があります。
塗料の耐用年数は種類ごとに違っているため、どの塗料を使って外壁塗装をするかによって寿命の長さが異なります。
順位 | 各塗料の種類 | 耐久年数 | 金額 | こんな人におすすめ |
---|---|---|---|---|
1 | ラジカル塗料 | 12~15年 | ふつう | 最近人気が出始めたまだ新しい塗料。シリコン樹脂塗料よりも少し高額だがその分耐久性に優れている。薄い色が多く濃い色は少ない。 |
2 | シリコン樹脂塗料 | 10~15年 | ふつう | 費用と性能のバランスが良い塗料。色も豊富で最も定番の塗料といえる。 |
3 | フッ素樹脂塗料 | 15~20年 | やや高い | 価格は高いが耐久性に優れた塗料。予算面で余裕のある人にはおすすめ。淡い色が多い。 |
4 | ウレタン樹脂塗料 | 8~10年 | やや安い | 価格や安いが耐用年数はやや短め。予算を抑えたいという人にはおすすめの塗料。 |
5 | 無機塗料 | 15年~ | 高い | 耐久性に非常に優れているが、費用がかなり高くなるのでコストパフォーマンスに優れているとは言い難い。 |
6 | アクリル樹脂塗料 | 5~7年 | 安い | 価格が安いが、紫外線に滅法弱いため耐久性が低い。とにかく初期コストを下げたいという方にはおすすめだが、数年後に再度塗り直しが必要になる。 |
7 | 光触媒塗料 | 20年 | 高い | セルフクリーニング機能といって、紫外線を浴びれば汚れを分解し、水と一緒に流してくれるという高機能塗料。耐用年数は20年以上と言われているが、まだ実績はないので未知数な部分も。塗装技術で差が出やすいという特徴もある。 |
1 ラジカル塗料 |
---|
耐久年数:12~15年 |
金額:ふつう |
こんな人におすすめ! 最近人気が出始めたまだ新しい塗料。シリコン樹脂塗料よりも少し高額だがその分耐久性に優れている。薄い色が多く濃い色は少ない。 |
2 シリコン塗料 |
耐久年数:10~15年 |
金額:ふつう |
こんな人におすすめ!
費用と性能のバランスが良い塗料。色も豊富で最も定番の塗料といえる。 |
3 フッ素樹脂塗料 |
耐久年数:15~20年 |
金額:やや高い |
こんな人におすすめ! 価格は高いが耐久性に優れた塗料。予算面で余裕のある人にはおすすめ。 |
4 ウレタン樹脂塗料 |
耐久年数:8~10年 |
金額:やや安い |
こんな人におすすめ!
価格や安いが耐用年数はやや短め。予算を抑えたいという人にはおすすめの塗料。 |
5 無機塗料 |
耐久年数:15年~ |
金額:高い |
こんな人におすすめ!
耐久性に非常に優れているが、費用がかなり高くなるのでコストパフォーマンスに優れているとは言い難い。 |
6 アクリル樹脂塗料 |
耐久年数:5~7年 |
金額:安い |
こんな人におすすめ! 価格が安いが、紫外線に滅法弱いため耐久性が低い。とにかく初期コストを下げたいという方にはおすすめだが、数年後に再度塗り直しが必要になる。 |
7 光触媒塗料 |
耐久年数:20年 |
金額:高い |
こんな人におすすめ!
セルフクリーニング機能といって、紫外線を浴びれば汚れを分解し、水と一緒に流してくれるという高機能塗料。 |
ラジカル塗料やシリコン塗料が人気ですが、初めての外壁塗装を行う方は今後も長く住み続ける方が多いと思いますので、フッ素塗料や無機塗料を選ぶ方もいます。
無機塗料や光触媒塗料は耐久性が20年前後持続する塗料なので、できるだけ塗装の回数を少なくしたいという方に向いています。
長期的に見ると外壁塗装を行うサイクルを減らすことができ、手間だけでなくコスト面もお得になる場合があります。
外壁塗装アドバイザー
金井のコメント
外壁塗装を20年やっていないと起こること
外壁塗装を20年も放置していると、当然塗料は経年劣化によってその性能を低下させてしまいます。
そのため、下記のようなトラブル・症状が発生します。
・色あせや汚れ
・水による変色
・コーキングや塗料の劣化
・壁のひび割れや剥がれ、欠け
それぞれを詳細に解説していきます。
色あせ・汚れ
完成時や塗替え直後は綺麗で鮮やかな外壁も、時が経つごとに塗料が劣化して色あせていき、風によって運ばれたゴミやカビ・コケ、雨水によって汚れていきます。
元々外壁塗装に使われる塗料には、種類によって差こそあれど、抗菌・防カビ性や耐水性などといった機能を有しています。
しかし、耐用年数が過ぎてしまえばそれらの塗料としての性能も機能しなくなってしまうのです。
また、色あせとは別に、壁に触れた際に白い粉のようなものが手に付着するという症状が存在します。
これはチョーキングと呼ばれ、経年劣化か施工時の塗料かき混ぜが不十分だった際に発生する劣化現象です。
塗料の成分が分離することによって分離した成分が表面に表れ、白い粉として触れた時に付着するという仕組みです。
水をかけると壁の色が変わる
塗料は経年劣化によって性能が低下していきます。
そのため、防水性が低下することによって水を弾くことができなくなり、水分を吸収して変色してしまう場合があります。
ただ色が変わるだけならまだしも、水分が壁材を侵食していき、柱などの構造部を腐食させてしまうという状態に悪化させてしまう可能性も存在しています。
塗装の耐用年数と壁材の耐用年数は別であり、塗料が機能しているからこそ壁材は耐用年数通りに長持ちするのです。
逆に言えば、塗料の効果がない状態で放置していると、外壁の耐用年数も本来の期間より短くなってしまうということです。
コーキングの劣化
コーキングとは、壁材同士の合間に施される防水や、壁材同士がぶつかったり歪んだりしないように固定する役割を持った部分を指します。
イメージとしてはレンガ模様の壁を想像してください。
レンガブロック同士の間にある粘土のような部分、そこがコーキング部分であると考えておけば間違いはありません。
もちろんレンガではない普通の壁にもコーキングが施されています。
コーキングに使われているコーキング剤は、固まることでゴムのような質感になります。
これも塗料と同じく経年劣化によって黒ずんでいったり、乾燥してカピカピになってしまってひび割れたり剥がれてしまう場合があります。
コーキングが劣化すると壁材の間に雨水が侵入してしまうため、こちらも外壁塗装と一緒にメンテナンスが必要です。
壁のひび割れ
壁にひび割れができる原因はいくつかあります。
原因① 乾燥
1つは塗料の乾燥によって発生するひび割れです。
こちらは塗料がひび割れているため、外壁そのものに直接的な影響はありませんが、当然ひび割れていたり剥がれている部分は塗料の防護を受けていないため、雨水などが侵入すると無防備な外壁に水分が浸透してしまう可能性があります。
原因② 壁材の劣化
2つ目は壁材の劣化によるひび割れです。
壁材も経年劣化によってひび割れたり、地震などによる歪みが蓄積して外壁に大きい亀裂が入ることもあります。
基本塗装も一緒にひび割れてしまいますが、こちらは壁材そのものが割れているため、より深刻です。
塞げない程のひび割れともなると外壁塗装ではどうにもならないため、張り替えや重ね張りをおすすめします。
原因③ 物理要因によるもの
3つ目は物理的な損傷によるひび割れ・欠けです。
台風などで運ばれたものや雹が強くぶつかることで物理的に外壁がダメージを負う場合があります。
こちらは耐用年数関係なく発生するため、自然災害後に安全が確認できたら、損傷がないかをしっかりと確認しておきましょう。
基本的にひび割れから水漏れなどの症状につながるのは3mm程度の深さからです。
そして基本的に浅いひび割れであれば、塗料が染み込んで蓋になるため、外壁塗装による補修が可能です。
外壁塗装の耐久性を長く保つ2つのポイント
外壁塗装の耐久性を長く保ち、メンテナンスの頻度を減らすためには2つのポイントが存在します。
1つはシンプルに「耐久性が高い塗料を使う」というもの、もう1つは「質の高い丁寧な塗装を行う業者に依頼する」ということです。
要するに、変な小技や知識に頼るのではなく、しっかりとした塗料を使ってしっかりとした業者が施工すれば長持ちするという、至極当然のことをすればいいということです。
1.耐久性の高い塗料を使う
塗料にはいくつか種類が存在します。
単純に色の種類が違うものや、使っている素材が違うもの、相性の良い・悪い壁材があったり、特定の壁材専用に開発されていたりとさまざまな用途・理由で選ぶことができます。
その中でも特に耐用年数が高い、つまり耐久性に優れた塗料は「無機塗料」です。
基本的に塗料というものは長くても10年から15年程度が耐用年数であり、メーカーにもよりますが耐用年数が20年以上あるのは無機塗料だけです。
基本的に、塗料の耐用年数はクリア塗装を除き耐用年数=価格と言っても過言ではありません。
最も安価なアクリル塗装は耐用年数が5年から8年程度、対して無機塗料は最も長い耐用年数に対して価格も高いため、塗料代が心配な方はある程度価格と耐用年数を比較して塗料を選んだ方がいいでしょう。
もちろん耐用年数が高い程メンテナンスの回数を減らせるため、長期的に見た場合には安く済むといった可能性も考えられます。
2.丁寧な外壁塗装をしてくれる業者に頼む
丁寧な施工を行ってくれる業者に依頼する、というのは厳密には「耐用年数を長くする」というよりも、逆に「耐用年数以下の出来にならないようにする」という意味合いの方が大きいと言えます。
というのも、塗料というのはただ塗れば同じ効果が得られるというわけではありません。
外壁にあった適切な塗料を選ぶことや、塗り方にもいくつか種類があるため、適した塗り方である必要もあります。
そういった正しい施工方法というのはしっかりとした知識と経験、そして技術が伴ってこそ成り立つものであり、正しい施工をしてようやくメーカーが定めた耐用年数に足る耐久性を発揮します。
悪質な業者や質の悪い施工を行う業者に頼むと、しっかりとした塗装をしてくれないかもしれません。
例えば、塗る前によくかき混ぜる必要がある塗料を中途半端にかき混ぜた結果、施工して一年程度で塗料が分離してチョーキングが発生してしまったり、目に見えない部分の塗装やコーキングの打ち替えを疎かにしてしまっている、といった問題ある施工が行われる可能性があります。
このような質の悪い施工が行われないよう、丁寧な作業に定評のある業者を選ぶといいでしょう。
外壁塗装アドバイザー
金井のコメント
検討をしていると、どうしても価格に目がいきやすいと思います。
もちろん価格も重要な判断材料の1つではあって、適正な価格の提案を選ぶべきです。
一方で工事の重要性にも目を向けて頂きたいと考えています。
業者がしっかりやってくれるところなのかは蓋を開けてみないと分かりません。
決して安いところは止めておいた方がいいというわけではないのですが、あまりにも安値で提案する企業は施工不良のリスクが高まる傾向にあります。
よくある質問
ここからは、外壁塗装についてよくある質問についてご紹介します。
Q. 外壁塗装を10年でやるのは早いですか?
A. 外壁塗装を行うかどうかは、基本的に「外壁や塗装の状態」と「塗料の耐用年数」を比較して考えるといいでしょう。
例えば、今回の記事で解説した無機塗料を使用している場合は耐用年数が15年から最大25年であるため、10年は少し早いですが遅いということはないと言えます。
逆に耐用年数が10年以下であるクリア塗料やアクリル塗料は、そもそも10年も持たない以上、逆に10年でやるのは少し遅いと言えます。
また、塗料の耐用年数がどの程度であろうと、外壁にひび割れが目立ったりチョーキングが発生しているなどの劣化症状が表れているのであれば、10年であろうと5年であろうと外壁塗装が必要であると考えていいでしょう。
Q. 外壁塗何年ごとにやるのがよいですか?
A. 外壁塗装を行う頻度としては、やはり塗料の耐用年数をもとに決めるのがいいでしょう。
耐用年数ギリギリにメンテナンスするよりは、耐用年数を迎える少し手前辺りで余裕を持って依頼するのが外壁を長持ちさせるポイントです。
そのため、使っている塗料の種類を把握したうえで大体のタイミングを決めておきましょう。
塗料の平均的な耐用年数は10年から15年程度であるため、長くて15年短くて10年を目安にするといいでしょう。
特別耐用年数が長い塗料や、逆に耐用年数が短いと言われている塗料を使っている場合のみ、タイミングに気をつけるよう意識するべきです。
Q. 外壁塗装の費用はどれくらいかかりますか?
A. 外壁塗装の費用は使う塗料の種類と家の高さ・外壁の広さによって決まります。
大体の相場は100万円前後で、安い塗料でさほど広くない範囲であれば数十万円程度、逆に高い塗料で広い範囲であれば100万円を越えます。
また、基本的に自社施工を行う業者に依頼する方が安いというよりも、上記の相場は自社施工の業者に依頼した際の相場であり、ハウスメーカーやホームセンターなどの依頼を受けた後に実際に作業する別の業者に依頼を投げるタイプの場合は、当然その依頼料が上乗せされてしまい、相場よりも高くなるでしょう。
Q. コーキングの補修も一緒に行ってもらえますか?
A. 外壁塗装の作業の一環としてコーキングの打ち替えは行われます。
そのため、外壁塗装を依頼した後はコーキングの状態も必ず確認しましょう。
悪質な業者の中には、コーキングを全て打ち替えず、手の届く範囲だけ打ち替えて上の方をそのまま放置している場合があります。
まとめ | 外壁塗装を20年していない方は診断必須!
以上、外壁塗装の耐用年数について解説しました。
基本的に20年もの長い期間持つ塗料は限られているため、外壁塗装を20年間していないという場合はすぐに依頼した方がいいでしょう。
特にそれだけ外壁のメンテナンスに無関心だった場合、外壁の掃除などもしていない可能性も考えられるため、本来20年以上持つ塗料を使用していたとしても限界を迎えている可能性があります。
依頼をする前にまず外壁の状態を調べて、今の状態が大丈夫かどうか診断をするようにしましょう。
この7種類はあくまで大枠です。
この中にさらに遮熱性あり、艶あり・なし、と多くの種類の塗料があります。
気を付けていただきたいのが、各塗料と外壁・屋根との間には相性があるということです。
「うちはこれを推してる!(売りたい)」といった具合で、一択で提案してくる業者もいますが、どんなに良さそうな塗料でも、相性が悪ければ望んだような効果は得られません。
お得に聞こえる話も出てくるかと思いますが、業者だけでなく塗料に関しても選択肢があるべきと考えます。