外壁にカビがでる原因4つと対処法を解説 | コケとの見分け方も
外壁にカビが発生していて、見栄えが悪いからどうにかしたいと思っている方へ。
実は外壁のカビの落とし方は適当に行ってしまうと外壁材を傷め、本来持つはずの外壁の寿命が短くなったり、返って状況が悪化してしまいます。
この記事では、そうした事態を防ぐために外壁のカビを落とすコツと、カビが発生する原因を解説します。
この記事でわかること
- 外壁にカビが発生する4つの原因
- DIYで外壁のカビを落とす方法
- カビができないようにするための3つのコツ
外壁にカビが発生する4つの要因
外壁を劣化させたり、美観を損なう厄介なカビ。
外壁にカビが生える原因です。
おおむね風呂場のカビと同様、湿気や日当たり、風通しなど基本的にカビにとって好ましい環境が整った結果カビが繁殖します。
室内であれば早期に気付きますが、外壁をわざわざ見て回ることも滅多にないため、気付くのが遅れ、結果カビが繁殖して壁の一部分を完全に覆ってしまう事態に発展することもあります。
湿度が高い
カビが生える原因としてもっとも基本的な原因が湿度、湿気です。
湿度が高くジメジメしたところは日当たりが悪く、風通しも水はけも悪いと、後述する3つの要因もセットで満たしていることが多いため、湿度が高いとそれだけでカビが生える原因になると言っても過言ではないでしょう。
室内であれば乾燥機などで対処できますが、室外で除湿機を置いても効果は薄いため、湿気対策は専用のものを考えなければなりません。
日当たりが悪い
日当たりが悪い場所は陽の光によって殺菌できない上に、温度も上がらないため水分が蒸発せず、湿度が高くなりやすい状態になります。
とくに、雨の日などは乾くまでにかなりの時間がかかるため、その間にカビが繁殖する環境が構築されてしまう可能性があります。
風通しがよくない
日当たりが悪い場所では日光によって水分を蒸発させられないため、風通しが重要になります。
風通しさえ良ければ日光が当たらずともある程度湿度を下げられますが、風通しが悪いと湿気を除去するものが何もなくなるため、必然的に湿度が高くなります。
また本来風通しが良い場所であっても、環境によって風通しが悪くなることがあります。
たとえば、外壁のすぐ近くに植木鉢や植栽があると、その分風通しが悪くなるだけでなく、植物に水を与えて湿度も上昇してしまうため、カビが育ちやすい土壌ができてしまうでしょう。
外壁塗装アドバイザー
金井のコメント
外壁材の水はけが悪い
外壁材は防水性が高いものや親水性が高いものなど、ものによって水に対しての性能が異なっており、中には防水性が皆無で塗料に防水性を依存しているものがあります。
そういった外壁材は水はけが悪く、使っている塗料の防水性が低かったり、経年劣化などで塗料の防水性能が低下していると水分が外壁に残り続け、カビが繁殖する土壌が出来上がってしまいます。
外壁及び塗料の中には雨の水分を使って汚れを洗い流すものもありますが、水はけが悪くなるとこの機能も十分に発揮されなくなるため、汚れが溜まってしまい、この汚れもカビの土壌作りの元になります。
外壁のコケとカビの見分け方
外壁に生えるものはカビ以外にもコケがありますが、この2つの見分け方としては主に色合いと生えている場所です。
そもそもの違いとしてコケは植物でありカビは菌類と、まったくの別物です。
そしてコケは植物なので、日当たりが良ければ光合成も行えるためカビと違って日当たりが良い場所でも生えてきます。
カビの場合栄養や日当たり、水分など繁殖する環境が整っていなければ増殖しませんが、コケの場合たとえ栄養がなくても水分と日光さえあれば生きていけるため、そういった面ではコケの方が厄介かもしれません。
また被害面で比較すると、カビは外壁自体には変色させる程度のダメージしかありませんが、人体には健康被害を与えるなどの影響があります。
それに対してコケは、保水性が高いため外壁の劣化を加速させる危険性がありますが、人体には影響がありません。
外壁カビの落とし方はDIYと業者に分ける2通り
外壁で増殖したカビを落とす場合、自力で行うDIYと業者に依頼する2通りがあります。
基本的には業者に依頼するのが安全かつ確実ではありますが、ある程度は自分でも落とせます。
そこで、自分で落とす方法と業者に依頼する方法の2通りを解説していきます。
自分で外壁のカビを落とす方法
自分で外壁のカビを落とす場合、以下の2つの方法でカビを落とします。
- 塩素系薬剤で落とす
- 高圧洗浄で落とす
自分で落とす場合、入手できる道具やできることなどに限りがあるため、繁殖しているカビの規模によっては自力では対処が難しい可能性もあります。
塩素系の薬剤で落とす ※ただしカビキラーはNG
外壁を保護する塗膜を壊してしまうためカビキラーはおすすめしません。
カビを落とすにはカビを死滅させることが基本です。
そのため、専用のスプレーやブラシで落とすか、カビを死滅させる塩素系の薬剤を振りかけたり、吹き付けてカビを殺します。
この際注意点として、カビを死滅させる際には根本までしっかりと浸透させなければ根絶出来ないため、表面上カビを落とせたと思っても実際は根が残っており、再び増殖してしまう可能性があります。
環境を改善して育たないようにするのが大事です。
メリットとしては薬剤自体は入手するのが容易であること、デメリットは外壁材や塗料の劣化をはやめてしまう可能性があるということです。
オススメの薬剤は下記の通りで、中には塗料や壁材に悪影響を及ぼすものもあるため自分で選ぶ際には注意が必要です。
- 屋外用 茂木和哉 コケ・カビとり
- TO-PLAN(トープラン) キエ~ル コケ・カビ
高圧洗浄で落とす
カビ取りの方法として高圧洗浄機を使って洗い落とす方法もあります。
軽度のカビであれば高圧洗浄で十分落とせますので、高圧洗浄機を所有している方は定期的に高圧洗浄機で外壁の洗浄を行うのも良いでしょう。
ただし、あまり水圧が強いと、外壁自体にダメージが生じるだけでなく水分を与えてしまうことにもなるため、ほどほどで済ませましょう。
メリットとしては、自前で高圧洗浄機を所有しているのであれば水道料程度で済むこと、軽度のカビなら多くは完全に落とせること。
デメリットは重度のカビには効果がなく、外壁にダメージが入る可能性があることです。
業者にカビを落としてもらう方法
業者にカビ除去を依頼する場合、軽度のカビであれば上記のように高圧洗浄で落とします。
それ以外の方法で落とす場合、外壁塗装によってカビが繁殖している外壁ごとカビを根絶したりバイオ洗浄によって化学的に根絶します。
自前で対処するよりも時間がかかったり、費用がかかる可能性がありますが確実性があるため、絶対にカビを根絶したい場合には業者に依頼するのが確実でしょう。
外壁塗装で根本から解決する
外壁塗装を行えばカビが生える土壌をなくし、かつ防カビ性の高い塗料を選んでカビの予防が行なえます。
カビを除去してもそれはあくまでも今増殖しているカビを消すだけであって、今後カビが生えなくするわけではないため、カビの駆除と予防を行える外壁塗装は一石二鳥と言えるでしょう。
ただし外壁塗装は100万円近くかかる工事であるため、気軽に依頼するにはハードルが高いという点がデメリットです。
関連記事:外壁塗装の費用相場を塗料・坪数別に解説
バイオ洗浄を行う
バイオ洗浄はカビに効果のある薬剤を加えて洗浄を行う対処法です。
高圧洗浄のみよりも効果的にカビの除去を行えますが、デメリットとして周囲に植物がある場合、薬剤の影響によって枯れてしまうことがあります。
そのため、外壁の側に花壇や植木がある場合は、バイオ洗浄を行うと花壇や植木にも影響があるという点を理解した上で利用しましょう。
また、ペットなどにも良くない影響を及ぼすことがあるため、バイオ洗浄中は影響を受ける範囲にペットを近寄らせず、洗浄後もある程度の時間が経つまでは近寄らせないように気をつけましょう。
費用としては500〜800円/㎡程度と安く済みますが、別途洗浄に使う水道料(2000〜4000円)は家主負担であるため、その点には注意しましょう。
洗浄は薬剤塗布前、洗い流しと2回行うため通常の高圧洗浄よりも高くなります。
外壁のカビ発生を予防する3つの方法
外壁のカビ発生を予防する方法を解説しましょう。
今回解説する予防法は以下の3つになります。
- 防カビ性の高い塗料を使う
- 風通しを良くする
- 塗料の色をを考える
それぞれ解説していきましょう。
防カビ用の塗料を使う
外壁塗装に使う塗料には、防カビ性が高い塗料が存在します。
カビは外壁材に直接生えるわけではなく、塗料の上から発生します。
そこから根を伸ばしたり、塗料のひび割れなどから水分を通して直に外壁材で増殖するため、塗料はカビ対策において最重要です。
防カビ性の高いカビ用の塗料としてはアステックペイント製のアステックプラスSWがあります。
この塗料は忌避効果という、仮死状態になった菌類が同種の菌を寄せ付けないようにする生態効果を活用する塗料です。
塗料の成分によって既に増殖したカビの細胞を破壊して仮死状態にし、カビを寄せ付けない状態を作ることで防カビ性を高めています。
風通しがよい
日当たりが悪いというのは建物の立地などから改善が難しく、日当たりを良くするために周囲の建築物を破壊するなんて真似はできません。
そのため、改善するべきは風通しの良さです。
こちらも制限はありますが、周囲に物を置かないようにしたり、ある程度の改善は可能です。
色を工夫する
直接的なカビの対策ではありませんが、カビが及ぼす影響を抑えるという意味では外壁の色は重要です。
たとえば、白や明るい色合いというものは汚れが目立つため、グレーなどの暗めの色を選ぶ人も多いようです。
カビは基本黒い汚れのように見えるため、暗色の色合いにすることでカビが見えづらくなり、美観への影響を抑えられます。
もちろん根本的な予防・対策にはできないため、あくまでもカビが発生した際の影響を抑える意味が強いです。
外壁カビのよくある質問
最後に外壁に生じたカビに対するよくある質問を解説していきましょう。
カビがどの程度侵食しているかなど、現状に関する質問は実際に駆除ができる業者などに確認したり、インターネットで調べて出てきた画像と現状を比較して確認すると良いでしょう。
新築してから数年の外壁カビはどのようにメンテナンスすればよいですか?
新築してからの数年はカビがすぐに生えるわけではありませんが、最初に使われている塗料の質であったり、立地によっては発生する可能性も存在します。
基本的に建造物の初期塗料は指定がなければコストを抑えるため安価な塗料が使われることが多く、そういった塗料は耐久性も低いため特別防カビ性に優れているわけではありません。
そのため、新築早々防カビ性の高い塗料を使うのもメンテナンスの1つでしょう。
他にも、今回の記事で解説したカビ予防を実施するのも良いでしょう。
外壁のカビを放置しておくとどんなことがありますか?
カビとコケであればコケの方が外壁に悪影響ですが、カビが外壁に何の影響も与えないわけではありません。
カビが繁殖する状態は外壁の塗料も劣化しやすい状態のため、それを放置するのは外壁の劣化を放置しているのと同じです。
他にもどんどんとカビの侵食が広がっていき、外壁一面が黒ずんで見栄えが悪くなり、カビの胞子によって肌や気管に悪影響を及ぼします。
外壁のカビの対処法まとめ
以上、外壁のカビの対処法を解説しました。
カビは美観を損なうだけでなく外壁の劣化を促し、胞子によって健康被害も引き起こす百害あって一利なしの存在です。
カビが発生する原因には立地などのどうしようもない要因が絡んでしまうため、完璧なカビ対策は難しいです。
しかし、軽度のカビであれば高圧洗浄で洗い流せるため、カビが発生しても手遅れではなく、定期的に洗浄などのメンテナンスを行えば、万が一カビが発生しても重度のものに発展する前に対処できるでしょう。
どうしてもメンテナンスを行うのが難しいという場合は、防カビ性の高い塗料を使った外壁塗装を行うとメンテナンスの回数を減らせるでしょう。
植物からの胞子でカビが付着しやすくなるケースもあります。
胞子はとても軽く何千メートルと舞い上がると言われているので、近くに山・森や林がある場合は、経年劣化に関係なくカビが生えてくることもあります。