湿度85%以上だと外壁塗装ができない?外壁塗装と湿度の関係
塗装に適していない条件をご存知ですか?
実は、塗装に適していない条件の一つは湿度85%以上という条件です。
もう一つは気温5℃以下です。
塗装をするにあたってまずはいつ塗装ができない気候なのかをお住いの地域に当てはめて調査するとよいでしょう。
この記事では下記の2つを解説します。
- 湿度が85%以上では塗装ができない理由
- 湿度85%以上になる地域と季節
是非最後までチェックしてみて下さい。
外壁塗装は湿度85%だとできない?
湿度85%以上は塗装に不適切と言われています。
日本建築学会が発行しております「建築工事標準仕様書・同解説 JASS18塗装工事」にも2.6施工管理Aのページにて、以下のように記載されています。
…塗装場所の気温が5℃未満、相対湿度が85%以上もしくは換気が適切でなく結露する等によって塗料の乾燥に不適切な場合は、原則として塗装作業に着手しない。
やむをえず塗装をする場合には、採暖や換気等の養生を行う。
-『建築工事標準仕様書・同解説 JASS18塗装工事/一般社団法人日本建築学会』より引用
相対湿度、気温が5℃未満場合の塗装工事については以下の記事をご覧ください。
湿度85%以上の地域はどこ?
湿度が85%以上とは、かなり湿気が高い状態です。
2017年の月ごとの平均湿度を調べてみますと、7月の77.6%が最大、3月の62.7%が最小となっています。(気象庁のデータより参考)
これだけを見ると、湿度85%以上はなかなか発生しない条件のように思いますが、日本は地域によってかなり天候が違います。
太平洋側は夏が湿度が高く、冬は乾燥しますが、日本海側は逆に冬場が湿度が高く、夏の方が乾燥しています。
そして、全都道府県の県庁所在地における2017年の月ごとの平均湿度を見てみますと、冬に2か所、夏に1か所だけ平均湿度が85%を超えているエリアがあります。
地域 | 月別 | 平均湿度 |
---|---|---|
山形 | 12月 | 85% |
福井 | 12月 | 86% |
宮城 | 8月 | 87% |
最小湿度
では、上記の3エリアは該当月は全く塗装ができないのかと心配になりますが、決してそんな事はありません。
同じく気象庁が同エリア、同月の最小湿度も発表しています。
地域 | 月別 | 平均湿度 | 最小湿度 |
---|---|---|---|
山形 | 12月 | 85% | 42% |
福井 | 12月 | 86% | 41% |
宮城 | 8月 | 87% | 31% |
つまり同エリアで湿度が高い月でも、日によっては塗装に適した湿度の日もあるので、大事なのは日によってのコンディションを見ながら柔軟に対応する事になります。
では、なぜ湿度が高いと塗装には適さない環境になってしまうのでしょうか?
塗装はその塗料がかたまること(塗膜の硬化)によりその性能を発揮します。
そして湿度が高いからといって、決して塗膜が硬化しないという事ではありません。
それでも推奨されないのには理由が2つあります。
理由その1
塗料が固まるのに時間がかかる
1つは、湿度が高いと塗膜が硬化するまでの時間が長くなることがあります。
塗料が固まるまでの間は、まだ塗装が完成していませんのでその性能を発揮していません。
固まろうとしている間に、塵埃がついたり、水滴がついたりしてしまうリスクが高まります。
そして塗料は化学反応を利用して、塗膜を形成していきますが、その塗膜形成の過程は非常に複雑であり、物理的、物理化学的、科学的の3項目に分けられて進んでいきます。これらの反応が適切に完了するまでは塗膜が形成されません。
塗料が固まるまでの時間が長くなるということは何かが起こるリスクが高くなるので、湿度が高い状態では推奨されないのです。
理由その2
かぶり現象
湿度が高いと塗装が推奨されないもう1つの理由は、「かぶり」という現象が発生するリスクが高くなるからです。
塗料に含まれるシンナーや水などの溶剤が蒸発していき、塗料が固まっていくのですが、液体が気体になる際には熱エネルギーが必要なので、周囲から熱を吸収していってしまいます。
お風呂上がりに体を拭かないと、どんどん体が冷えていってしまうのも同じ仕組みで気化熱と呼ばれるものです。
つまり塗料の温度が下がります。
その際に、湿度が高いと空気中の水蒸気が冷やされて液体に戻ってしまい、結露をする可能性があるのです。
当然まだ塗膜が硬化しきっていない外壁に結露が発生してしまえば、塗料に染み込んでしまいもやがかかってしまったような、にじんだような感じになってしまうこの現象を「かぶり」といいます。
まとめ
かぶり現象は、結露が起きる事により発生するものです。
結露は湿度が高くても、気温が高い場合には発生しません。
ですので、太平洋側の冬は気温が低いですが、湿度も低いためかぶり現象は発生しづらい環境になりますが、北陸などの冬でも湿度が高いエリアは発生条件が整っているでの十分に注意が必要となります。
しかし冒頭でお伝えしたように、同じエリアでも日によっては湿度が低いも当然あります。
その地の特性をよく理解している地元の塗装屋さんの中から、常にコンディションを確認しながら注意深く行ってくれるところを見付けることが非常に重要である事がお分かり頂けたと思います。
塗装工事に最適時期についてはこちらも併せてご覧ください。