外壁塗装【光触媒塗料】の効果は?耐用年数や価格も解説
光触媒塗料をご存知の方は、おそらく訪問販売や塗装店からの提案を受けていることと思います。
光触媒塗料は「ハイグレードな塗料」としておすすめされるケースが多いですが、費用も高額なのでデメリット面も知っておかないとこんなハズじゃなかった・・ということも。
今回は光触媒塗料について気になる以下のことについて解説していきます。
光触媒塗料って何?
光触媒とは、酸化チタンTiO2(二酸化チタン)を材料として、光を吸収して、有機物や最近を分解する働きをもつ物質を総称します。
具体的な働きとしては、抗菌・除菌・防汚・セルフクリーニング等の力を持っています。
それを外壁塗装に使用する塗料に使用したらいいのではないか、と応用されたのが光触媒塗料です。
今回は、光触媒塗料の能力やメリットデメリット、実際の価格などをご紹介していきます。
光触媒塗料のメリット
光触媒塗料のメリットは以下の3つです。
- 汚れが落ちやすい
- 空気浄化
- 高耐久性
1.汚れが落ちやすい
光触媒塗料の一番の特徴である「セルフクリーニング」機能によって、塗装面に付いた汚れが流れ落ちやすくなっています。
光触媒塗料は親水性が高いため、塗装面に付着した汚れと塗装面の間に水が入り込み、汚れを洗い落とします。
そのため、長期にわたってきれいな外観を保つことができるのです。
光触媒の原理 | 光触媒のことなら 【SICコーティングス株式会社】
2.空気浄化機能がある
光触媒は光と反応することで、排気ガスなど大気中の有害物質を分解します。
塗装した建物への直接的なメリットではありませんが、一般的に塗装は有害な化学物質を使用するため、光触媒塗料のように環境に良い塗料は実は珍しいのです。
3.耐久性が高い
TOTOのハイドロテクトコートに限った話ですが、光触媒塗料にはフッ素系塗料の耐久性(18年)と同等かそれ以上の耐久性(20年)があるといわれています。
「いわれています」と記載したのは、まだ開発されて20年経過しておらず、実績がないためです。
ちなみにTOTOのハイドロテクトコート以外の光触媒塗料はも耐久性が高いといわれていますが、ハイドロテクトコートと同様に実績は無く、メーカーの保証もないためハッキリしたことはわからないのが現状です。
光触媒塗料のデメリット
光触媒塗料のデメリットは以下の3つです。
- 光が当たらない家は効果がない
- 光触媒は費用が高い
- 屋根用の塗料が無い
- 色やツヤの種類が少ない
- 光触媒塗料を扱える塗装業者が少ない
1.光が当たらない家は効果がない
光触媒塗料というその名のとおり、光によって「触媒」される塗料ですから、光が当たらない外壁や屋根下などは効果を得られません。
また、光触媒塗料は酸化チタンが含まれているため、白系統の色しかありません。
ですので、汚れやすいく、塗膜も固いのでひび割れやすい、というデメリットも持っています。
2.光触媒は費用が高い
光触媒はまだまだ実績が少なく、量産技術が他塗料に比べて高くないため、塗料の価格がまだまだ高いのが実情です。
塗料の種類 | m²あたり単価 |
---|---|
シリコン | 1,800~3,500円 |
フッ素 | 3,500~4,500円 |
光触媒 | 4,500~5500円 |
3.屋根用の塗料が無い
光触媒塗料には、今のところ屋根用の塗料はありません。
実は、屋根用の塗料が無いことは少しやっかいな問題です。
外壁塗装は屋根塗装と同じ年数で行うようにしたほうが、屋根塗装と外壁塗装をバラバラに実施するのに比べて、足場の組み立てが無い分お得になります。
そのため、特に新築後初めての塗装の時などに、将来の屋根と外壁の塗装年数が同じくらいになるように調節することが多いです。
外壁よりも屋根の方が太陽光を強く浴びるため劣化が強く、外壁よりも屋根の方が良い塗料を使うことが多いのですが、光触媒塗料には屋根塗料がないため、外壁塗装のタイミングと屋根塗装のタイミングがどうしてもずれてしまいます。
長期的なコストパフォーマンスを考えると、屋根と外壁の塗料をそろえられないのはすこしもったいなく感じてしまいます。
4.色やツヤの種類が少ない
光触媒塗料はまだ製造技術がそれほど成熟していないため、色やツヤの選択肢が少ないため、思った通りの色を選択できない可能性があります。
ただ、他の塗料では敬遠されがちな、汚れやすい真っ白な色などは、光触媒のセルフクリーニング機能が発揮されることで美観を長期間綺麗に保つことができるため、そこまで大きなデメリットでは無いかもしれません。
5.光触媒塗料は扱える塗装業者が少ない
元々、ハイドロテクト(光触媒技術)で有名だったTOTOのが出す光触媒塗料は、認定施工店制度と言って限られた塗装業者のみが扱える塗料でした。
理由としては、通常の塗装よりも下地処理をしっかりした上で塗装しないと、光触媒塗料の効果が得られません。
施工実績は今だ少なく、現状では訪問販売がほとんど扱っている商材になりますので、ただ家を長持ちさせたいのであればフッ素塗料やシリコン塗料でも十分だと思います。
もっと詳しく!光触媒の仕組み
※より専門的な話ですので、読み飛ばしてもらっても問題ありません。
■セルフクリーニングは酸化チタンのおかげ
繰り返しになりますが、光触媒は酸化チタンTiO2(二酸化チタン)という物質があります。
酸化チタンとは、白色顔料の原料になっている物質で、良く石鹸や歯磨き粉などに使われています。
光触媒のセルフクリーニングは、酸化チタンが太陽の光(紫外線)を浴びることで、活性酸素を作り出し、汚れを分解します。
光触媒 – 環境技術解説|環境展望台:国立環境研究所 環境情報メディア
そして、光触媒が超親水性という性能によって、水と一緒に汚れを流してくれます。
超親水性とは、酸化チタンに紫外光を照射すると表面が非常に水になじみやすくなり、水滴を垂らしても薄く広がって膜を形成するようになる現象のこと。
つまり、太陽の光(紫外線)を酸化チタンに当てないと性能が発揮されないわけです。
■酸化チタンは完璧に見えてデメリットが…
酸化チタンは紫外線を浴びると、一緒にラジカル(OHラジカル)という物質を出します。
実は、ラジカルは塗料の寿命に大きく関係する、樹脂という物質を攻撃して、塗膜(塗料の膜)の劣化を早めてしまいます。
詳しくご説明すると、ラジカルは近くの有機物から電子を奪う働きがあるため、奪われた後は二酸化炭素や水になって、大気中に発散します。
つまり樹脂がどんどんなくなっていくわけです。
その結果、チョーキング(白亜化)と呼ばれる、外壁に手をつくと塗料が手についてしまう現象が起きてしまいます。
ですので、ラジカルの発生を防ぐ性能を持つ光触媒塗料を外壁塗装に使用するのが一番なんですが、今のところパーフェクトな塗料は出ていません。
これから登場してくるかもしれませんが、光触媒塗料は価格が高めに設定されているため、光触媒塗料にこだわらずに他の塗料の提案も聞いてみるのが一番です。
光触媒のメーカーと代表的な商品
こちらは光触媒塗料を扱っているメーカー一覧になります。
メーカー名 | 塗料名 | 単価(設計価格) |
---|---|---|
ピアレックス | ピュアコート水性 | 2,800円 |
日本特殊塗料 | エヌティオ | – |
ニュートラル | アパタイト光触媒塗料 | 1,800円 |
SICコーティングス | ニューコート(トップコート用) | 1,800円 |
TOTO | ハイドロテクトコート(※生産終了) | 4,200円 |
※TOTOのハイドロテクトコートは2017年に生産が終了しましたが、他のメーカーの光触媒塗料は現在も販売されています。
TOTOの光触媒塗料「ハイドロテクトコート」は現在販売していない
光触媒塗料は水回り機器で有名なTOTOの子会社であるTOTOエクセラ株式会社が生産・販売していましたが、2017年に取り扱いが終了しています。
TOTOの光触媒のブランド名であるハイドロテクトコートの専用サイトも2017年6月26日に閉鎖しています。
TOTOにも直接問い合わせましたが、現在は取り扱いが無く、再開に関する情報は無いという状況です。
光触媒塗料「ハイドロテクトコート」の変遷
TOTOは2000年に光触媒の塗料・コーティング事業を立ち上げ、光触媒塗料の機能性の高さを武器に、じわじわとシェアを上げていました。
塗料メーカーには珍しく、メーカーが塗装自体の保証を出し、またその保証を担保するために研修を行い、認定施工店制度を敷いていました。
ただ、光触媒塗料は高い機能性の反面、塗装品質が技術に左右されやすく、また塗装時の風の強さや湿度などにも強く影響されるため、品質の担保が難しいことが課題でした。
そこで2014年により取り扱いやすい光触媒塗料の新製品を出し、併せて認定施工店制度を廃止し、一般塗料と同じように扱えるようになりましたが、結果的に2017年にその新製品も生産が中止されました。
まとめ
光触媒塗料の最大手だったTOTOが撤退したことを受け、収縮方向に向かっている光触媒塗料ですが、他メーカーはまだまだ製造を行っています。
現時点ではいくつかのデメリットがありますが、光触媒塗料はその機能性の高さから、近未来を感じさせる塗料です。
今後の動向が最も気になる塗料だと思います。
一方で、「未来感」を感じる塗料なだけに、訪問販売が法外な値段で光触媒塗料の提案をしているのも事実です。
安易に決めずに、必ず他社にの見積もりとも見比べてから、塗装を依頼するようにしましょう。
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