外壁塗装のコーキングは増し打ち?打ち替え?
外壁塗装の時にはコーキングも補修する
外壁塗装を検討するとき、必ず同時に検討するのがコーキングの処理です。
コーキングの耐久年数は7年程度に対して、一般的な外壁塗料のシリコンは耐久年数が10年程度ですので、外壁塗装の際にはコーキングも更新してしまうことがほとんどです。
コーキングの補修には方法が2つ有ります。
- 打ち替え
- 増し打ち
外壁コーキングの打ち替えと増し打ちの比較
外壁塗装を検討するとき、同時に考えるのがコーキングの処理です。
コーキングを一度全て外して新たに施工する「打ち替え」と既存のコーキングを補修する「増し打ち」のどちらが良いのでしょうか?
工法 | 品質面 | コスト面 | 詳細 |
---|---|---|---|
打ち替え | ○ | △ | 現在のコーキングをすべてはがした上で打ちなおすため手間がかかる。 コーキングが新調されるため防水効果は十分高くなる。 |
増し打ち | △ | ○ | コーキングをはがす工程がない上、使用するコーキング剤も少ない。 コストは安くなるが、増し打ちを行う条件が限られる。 |
どうして外壁にはコーキングが必要なのか
サイディングには必ずコーキングがあります。
サイディングは温度が高くなると膨張し、温度が低くなると収縮する特性があります。
そのためサイディングばかりを並べてしまうと、収縮した時にサイディングとサイディングの間にすき間ができてしまい、そこから壁内へ雨水が入ってきてしまいます。
膨張収縮の緩衝材になり、かつ雨水の侵入を防ぐことがコーキング剤の役割なのです。
コーキングについての詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。
外壁のコーキングは原則打ち替えが良い
コーキングは原則、外壁塗装の際に打ち替えを行うことが理想的です。
コーキングは耐久性が約7年と、一般的に使われるシリコン塗料の約10年と比べると短いです。
つまり外壁の塗装が必要になる時期には既にコーキングの劣化が進み、ヒビ割れや肉やせなど交換のサインが出ていることが多いです。
条件が揃えば低コストの増し打ちも選択可
増し打ちは、打ち替えに比べて工程が少なく、使うコーキング剤の量も少なくて済むためコストは安くなります。
ですが、増し打ちでも品質を担保するための条件があります。
- 既存のコーキングにヒビ割れが無い
- サイディングの厚さが15mm以上ある
1.既存のコーキングにヒビ割れが無い
既存のコーキングがすでにヒビ割れがでるほど劣化して硬くなっている場合は、増し打ちはできません。
既存のコーキング剤の効果が無い状態ですので、打ち替えが必要です。
コーキングの上から塗料やコーキングカバーが塗ってある場合は、コーキングの劣化が進みづらいと言われています。
2.サイディングの厚さが15mm以上ある
コーキングが本来の役割を発揮するためには、最低でも10mm以上の施工をコーキングメーカーが推奨しています。
目地深さの算定
目地深さ(シーリング材の厚さ)は目地幅との関係〈形状係数D/W〉と実用上の必要接着面積から決定し、図にある許容範囲内に納まるように設定する。
目地にはコーキングの柔軟性を担保するために必ずバックアップ材を入れますが、バックアップ剤の厚みが約5mm有りますので、7mm程度しかコーキングが載せられません。
上の画像のようにサンディング厚が12mmの場合、新しいコーキングが2mmしか施工できません。
これでは十分な耐久性が獲られませんので必ず打ち直しになります。
この場合はコーキングを全て打ち替えると7mmでメーカー推奨の10mmには足りませんが、これが12mm厚のサイディングで施工できる精一杯です。
一方、サイディング厚が15mmあれば、古いコーキングと新しいコーキングがそれぞれ5mm以上確保できるので、増し打ちで対応できます。
一般的なサイディングの厚さですが、最近のサイディングは厚さが14mm以上、一昔前のサイディングは12mm以下という傾向があります。
見積書の打ち直し、増し打ちの項目と同時に、ご自宅のサイディング厚についても工事会社に確認してみて下さい。
窓枠は増し打ちの方が良いケースもある
窓枠の周囲にもコーキングが施されていますが、構造上の問題でコーキングをすべて除去することが難しい場合があります。
コーキングをすべて除去するのが難しい場合は、劣化している分だけを取り除き、その上からコーキングを増し打ちします。
外壁のコーキング処理の工程
最後に、コーキングとは実際にどのような手順で行うのか解説します。
工程1~3までは打ち替えの時だけ行いますが、工程4以降は打ち替えでも増し打ちでも同じ作業となります。
1.カッターでコーキングをサイディングから分離打ち替え
打ち替えの場合、まず最初に古いコーキングをはがします。
サイディングとコーキングの間にカッターを入れて、コーキングをサイディングから分離させます。
この時、コーキングの奥にあるバックアップ材を傷つけないように注意します。
※バックアップ材とは、外壁とコーキングの間に埋めてある発泡ポリスチレンの副資材です。
2.古いコーキングを取り除く打ち替え
コーキングが劣化していると、切れ目を入れるとわりと簡単に取れます。
しっかり張り付いていて取りにくい場合は、ペンチなどでつまんで引っ張ります。
3.残りカスやほこりをきれいにする打ち替え
サイディングに残ってしまったコーキングや、すき間入り込んだホコリを、ハケを使って綺麗に取り除きます。
古いコーキングやほこりがサイディングに残ったままだと、新しいコーキングが密着せず、コーキングの役割を果たしません。
4.養生(はみ出し防止)打ち替え増し打ち
外壁にプライマーやコーキング剤を付けないために、すき間に合わせて養生テープ(マスキングテープ)を貼ります。
養生をすることで仕上がりがきれいな直線になります。
施工事例 | シャープ化学工業株式会社
5.プライマー(下塗り剤)を塗る打ち替え増し打ち
プライマーとはコーキング用の接着剤のようなもので、コーキングをサイディングに密着させる効果があります。
打ち替えの場合はプライマーをすき間のサイディング側だけに塗ります。
このとき、プライマーをバックアップ材につけないように注意します。
バックアップ材がコーキングと密着してしまうと、サイディングが伸縮したときに3方(左右+奥)に引っ張られて、劣化が早まるためです。
増し打ちの場合は古いコーキングの上にプライマーを塗ります。
施工事例 | シャープ化学工業株式会社
6.コーキング剤の充填打ち替え増し打ち
コーキング剤をサイディングとサイディングの間に充填します。
中に空洞を残さないために、少し多めに充填します。
7.ヘラで均 す打ち替え増し打ち
空洞をさらに無くし、表面をきれいにするためにヘラを使って押さえこむように均します。
施工事例 | シャープ化学工業株式会社
8.養生をはがす打ち替え増し打ち
コーキングが乾く前に、養生をはがします。
コーキングが乾いてしまうとテープも一緒に固まってしまうため、はがすときにコーキングがズレたり取れたりしないよう注意します。
養生が取れれば、施工は完了です!
その後1時間~1時間半でコーキングの表面が固まり、その後は雨に当たっても問題ありません。
しかし完全に乾くまでは1週間ほどかかりますので、それまではコーキングに触れないように気をつけて下さい。
まとめ
増し打ちをするから悪徳業者ということはありませんが、本来増し打ちできない部分を増し打ちにすることで安く提案してくる業者は残念ながら存在します。
なぜ打ち替えになるのか、なぜ増し打ちになるのかをしっかりと説明して頂き、複数業者で比較することで本当に必要な塗装が見えてきます。