外壁塗装の耐用年数(寿命)ってどれくらい持つの?外壁材や塗料の種類で家の持ちが大きく変わる!
住宅の寿命を延ばすために必要なメンテナンスが外壁塗装です。
外壁塗装について調べ始めると、「外壁の寿命や耐用年数はどれくらいなんだろう?」と気になってきますよね。
こちらの記事では、耐用年数に関連する内容を詳しくまとめています。
記事の後半では「外壁塗装をすべきサイン・症状」や、「寿命を延ばすために実践したいセルフメンテナンス」についても紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
外壁塗装の耐用年数の定義とは?
一般的に「耐用年数」とは、「あるモノの耐久性や寿命がどれくらいもつか」という指標として使用されます。
例えば、フローリングの耐用年数は○年、クロスの耐用年数は○年、といった具合に表現します。
それでは、外壁塗装の耐用年数とは一体どんなモノを指しているのでしょうか。
外壁塗装の耐用年数には、
- 税務処理で使われる法定耐用年数
- メンテナンス周期としての耐用年数
の二つがあります。
税務処理で使われる法定耐用年数
投資や事業として不動産を取り扱う場合、税務処理上の法定耐用年数を見る必要があります。
国税庁は様々なモノに対して、法定耐用年数の目安を定めています。
外壁塗装に関連する建材ごとの法定耐用年数は次の通りです。
外壁材 | 法定耐用年数 |
---|---|
木造モルタル造 | 20年 |
木造サイディング張 | 22年 |
鉄筋コンクリート造 | 47年 |
軽量鉄骨造 | 27年 |
重量鉄骨造 | 34年 |
レンガ造/石造/ブロック造 | 38年 |
主な減価償却資産の耐用年数(建物・建物附属設備) | 国税庁
これらの法定耐用年数は税務処理で減価償却するときの償却年数となります。
これらは一般住宅のメンテナンスの目安として見るべき指標ではありません。
例えば、「自宅に使用している外壁材が税務処理上の耐用年数を迎えたからといって、すぐにリフォームをしなければいけない」というものではないのです。
メンテナンス周期としての耐用年数
一般住宅のリフォームをしてから、次のリフォームが必要になるまでの年数の目安として、
メンテナンス周期としての耐用年数があります。
外壁塗装では塗料、外壁材、コーキングの耐用年数が当てはまります。
まず、おおまかな考え方としては、外壁塗装の耐用年数はおおよそ10~20年です。
使用する塗料・外壁材やコーキングなどの外壁の状況に応じて値は変動します。
外壁塗装の塗料の耐用年数
外壁塗装に使われる塗料には、アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素などの種類があります。
塗料の耐用年数は種類ごとに違っているため、どの塗料を使って外壁塗装をするかによって寿命の長さが異なります。
代表的な塗料の耐用年数は、次の通りです。
塗料の種類 | 耐用年数 | 特徴 |
---|---|---|
無機塗料 | 15年~20年 | いわゆる自然界にあるものを使った塗料で、高性能塗料のため高価。 かなり耐久性に優れていて、耐用年数も一番長い。 自然に優しい塗料として注目を浴びている。 |
遮熱塗料 | 15年~20年 | フッ素塗料と並び、ハイグレードな塗料。 遮熱塗料には名前の通り熱を反射する性能があり、外壁塗装だけでなく屋根塗装に使用されるケースも多い。 遮熱塗料を使うだけで、室内環境の快適さは向上する。 |
ピュアアクリル塗料 | 12〜15年 | アクリル塗料の上位版と考えるといいでしょう。 防水性に優れた特徴があるので、一定期間は汚れにくい塗料です。 ただし、ある程度のコストがかかるのは難点。 |
フッ素樹脂塗料 | 15~20年 | 無機塗料の次に性能も価格も高い塗料。 耐候性、親水性、防カビ等にも優れているため、大型建築物(スカイツリー等)に使用されている。 |
光触媒塗料 | 10〜15年 | 数ある塗料の中でも、セルフクリーニング効果が備わっている珍しい塗料が光触媒塗料です。 雨や太陽光などと化学反応を起こし、塗料自体が表面をきれいにする効果を持っています |
シリコン樹脂塗料 | 10~15年 | 現在主流となっている塗料。 総合的に見て、一番性能も価格もバランスがいい塗料として人気。 |
ラジカル塗料 | 10~15年 | シリコン樹脂塗料よりも性能がいいと注目されている新しい塗料。 以前から塗膜劣化の大きな原因だったラジカルを制御し、さらに耐久性が強くなった塗料。 |
ウレタン樹脂塗料 | 8~12年 | ひと昔前に流行った塗料。 ひび割れに強く、シリコン樹脂塗料よりも安価。 しかし、耐久性はシリコン樹脂塗料に劣る。 |
アクリル樹脂塗料 | 5~7年 | 他の塗料と比べて耐久性が劣るため、現在は滅多に使用されない塗料。 ただ、安価で色も豊富のため、何回も塗り替える予定がある人向け。 |
塗料は価格だけではコストパフォーマンスが比較できません。
価格、性能、寿命のそれぞれをトータルで比較する必要があります。
またそれ以外にも注意すべきポイントはあります。
例えば塗料の中には扱いが難しいものもあり、施工経験の少ない業者に任せると本来の性能を引き出せない場合があります。
また開発されたばかりの塗料であれば、メーカーも予期していなかったトラブルが発生してしまう可能性もゼロではありません。
さらに、住宅が立地している気候環境によっても適している塗料は異なります。
このように外壁塗装の塗料を選びには、様々な要素が絡み合っているのです。
どの塗料を選べばいいかはその道のプロである業者がよく知っているため、信頼の置ける業者に相談してみましょう。
外壁材の耐用年数
塗料だけではなく、外壁材にも耐用年数があります。
「タイルの外壁はメンテナンスフリー」という内容も目にしますが、全くメンテナンスしなくてもいい外壁材はまず存在しません。
経年劣化や外的要因により、何らかのメンテナンスは必要となります。
代表的な外壁材ごとのメンテナンスの時期を紹介します。
外壁材の耐用年数表
外壁材 | 耐用年数 | 詳細 |
---|---|---|
窯業系サイディング | 40年 | メンテナンスの目安は7〜8年です。 窯業系サイディングは、コスト面のメリットだけではなくデザイン性や扱いやすさの面でもメリットが大きいです。 そのため、非常にポピュラーな外壁材です。 |
金属系サイディング | 40年 | メンテナンスの目安は10〜15年です。 耐候性に優れていますが、窯業系サイディングと比べると若干価格は高めです。 |
木質系サイディング | 40年 | メンテナンスの目安は8〜12年です。 本物の木を用いたサイディングであるため、木の素材の風合いにこだわりたい方から選ばれています。 ただし耐火性においては不安が残り、準防火地域では使えない製品もあるので注意。 |
樹脂系サイディング | 40年 | メンテナンスの目安は10〜20年です。 日本では窯業系サイディングが人気なのでそれほど普及率は高くありませんが、アメリカでは人気の外壁材。 窯業系より軽い特徴があるので施工はしやすいですが、遮音性には劣ります。 |
モルタル外壁 | 30年 | メンテナンスの目安は8〜10年です。 一昔前はサイディングよりもモルタルの方が主流でしたが、メンテナンスの難しさや施工価格の高さなどからだんだんと需要は小さくなってきました。 しかし仕上げには職人の技が生きるため、今でも住宅の外観にこだわりのある方などから選ばれています。 |
ALCパネル | 60年 | メンテナンスの目安は10〜15年です。 サイディングよりも耐用年数が長く、多孔性であるため断熱性に優れているという特徴があります。 |
コンクリート外壁 | 60〜100年 | メンテナンスの目安は15〜20年です。 数ある外壁材の中でも最も耐久性に優れているのがコンクリートで、とにかく寿命が長いです。 コンクリート打ちっ放しの外壁は塗装など必要なさそうなイメージですが、劣化してきた時には塗装によるメンテナンスが必要です。 |
タイル外壁 | 40年 | メンテナンスは不要です。 新築時の価格は高額になってしまいますが、外壁塗装のメンテナンスが不要なのでコスパ重視の方から選ばれています。 |
コーキングの耐用年数
コーキングとは気密性や防水性向上のためにタイルの間に充填する目地材のことです。
安価で導入しやすい上、デザイン性にも優れているサイディング外壁。
現代の日本では非常にポピュラーですが、必要なメンテナンスは外壁塗装だけではない点に注意しましょう。
サイディング外壁で特に必要なメンテナンス、それはコーキングの補修です。(またはシーリングとも呼びます。)
目地に詰められているコーキングは、外壁材や塗料と比較すると劣化が早いです。
多くの場合は外壁塗装のタイミングで同時に補修を行いますが、あまりにも劣化が早いときにはコーキングだけを補修しなければいけません。
コーキングの耐用年数は5〜10年であり、10年に1度の打ち替えが目安です。
コーキングの打ち替えとは、古いコーキングを除去して新しく詰め直す補修方法のことを指します。
コーキングの劣化としては、ひび割れや破断があり、稀にコーキングが浮くという症状も見られます。
ひび割れや破断を放置しているとその部分から雨水が浸入し、住宅が劣化してしまいます。
コーキングは住宅の防水性能を保つために重要な役割を担っています。
補修を怠らないようにしましょう。
外壁塗装の耐用年数は目安として考えるべき
どんな製品にも、メーカーが決めた耐用年数があります。
例えば塗料メーカーは、「促進耐候性試験」と呼ばれるテストを行い、耐用年数を決定しています。
促進耐候性試験は太陽や雨などの外的要因に晒されている状況をシミュレーションし、塗料の劣化状況を測定するものです。
注意したいのは、このテストはあくまでシミュレーションである点です。
実際の建物は、より複雑な外的要因を受けながら劣化していきます。
例えば気候環境においては、気温や湿度は場所や時間に応じて変化します。
また太陽光のあたる部分も異なります。
さらに、海沿いの住宅なら潮風による劣化もありますし、道路沿いの住宅なら排気ガスの影響もあるでしょう。
耐用年数は新築時から起算されているため、既築の外壁塗装では状況も変わってきます。
これらを理由として、塗料の耐用年数と実際の劣化状況にはズレが生じる可能性があります。
耐用年数はあくまで目安と考えておくのが賢明です。
今の外壁の状況を実際に見て、外壁塗装を実施すべきか検討すべきです。
外壁塗装を検討すべき症状・サイン
外壁が寿命を迎えているサインを列挙します。
以下のような症状が見られたら、外壁塗装を検討すべきタイミングです。
剥落(剥げ落ちる)
塗装ではなく、中のモルタルがはげ落ちてしまい、木材やラス(金網みたいな部品)が見えてしまっている状態。
塗装でなく早急な左官工事が必要。
チョーキング
モルタル施工の外壁において、手で触るとチョークを触った後のように手に塗料の粉がつく。
塗装がはがれてきている証拠なので、塗装屋さんに点検を。
ひび割れ(クラック)
外壁にひびが入っている。
ひび割れが即塗り替えするべきという事ではないが、特に横に走っているひび割れは要注意。
ひび割れの入り方で、大きく判断が変わる。
はく離
下地との付着力が薄れてしまい、塗膜がはがれてしまっている状態。
そこから雨水が簡単に入るので、塗装屋さんへGO!
カビ・コケ
洗浄で無理に落とそうとすると、はく離の可能性もあるので注意が必要。
すぐに塗装をしなければいけない状態ではないが、美観は損ねる。
塗装をしなければいけない状態ではないが、美観は損ねる。
錆び
モルタルの中のラスという金網が、錆びて外壁面にまで出てきてしまっている状態。
これも早急に点検が必要。
雨だれ跡
窓から黒い汚れが下に伸びている状態。
塗装の機能が落ちて、汚れが貯まり水と一緒に流れ落ちない状態。一度点検が必要。
ふくれ
外壁の表面に膨らんでいる箇所がある。塗料が下の外壁材と相性が悪く、内部の熱で塗料の膜が浮いてしまっている状態。
ヒビが入ると内部に水が浸入してしまうので点検が必須。
自宅の耐用年数を長持ちさせるためには
外壁の寿命を少しでも長くして、自宅を長持ちさせたい場合の対処法をお教えします。
劣化する前にメンテナンスをする
例えば、家庭用高圧洗浄機で外壁を洗浄したり、周囲の植え込みを整えたりといったメンテナンスが挙げられます。
高圧洗浄機でこまめに清掃していれば汚れはつきにくく、塗膜も長持ちします。
周囲の植え込みを整えることで、風通しがよくなります。
風通しが良くなることで、カビやコケが生えにくくなります。
ただしセルフメンテナンスの際に注意すべきなのは、高い場所での作業は危険が大きくなる点です。
特に、2階以上の外壁や屋根の上を自分でメンテナンスするのは非常に危険です。絶対にやめましょう。
もし外壁の汚れや剥がれが気になるようなら、専門業者に相談してみるのが最善です。
外壁塗装の工事で手抜きをしない
そもそもの工事が手抜きだとたった数年でメンテナンスが必要となる場合もあります。
例えば手抜き工事には以下のものが当てはまります。
- ひび割れやコーキングの補修をしない
- 塗り回数が少ない
- 塗料を薄めている
信頼できる優良業者に依頼することが、外壁の寿命を延ばすことに繋がります。
優良業者を探す方法としては以下の3点があります。
- 相見積もりする
- 工事の実績を調べる
- 資格を確認する
耐久性の高い塗料を選ぶ
特に耐久性の高い塗料としてはフッ素樹脂塗料が挙がります。
それなりに価格は高いですが、メンテナンス頻度を下げたい方にはオススメです。
塗料の耐久性を見る上で注意すべきポイントとしては、耐用年数が当てにならないこともあるという点です。
シリコン、フッ素などの多くのメーカーが取り扱う塗料は信頼性があります。
一方でピュアアクリルや光触媒といった新興の塗料は取り扱うメーカーが少なく、本当にその年数分保つとは言い難い状況です。
訪問販売業者が「30年も保つ塗料です」とこれらの塗料を紹介することがありますが、その根拠が乏しいケースが多いです。
まとめ
この記事では外壁塗装の耐用年数に関わる内容をまとめました。
外壁塗装の耐用年数とは、税務処理上の耐用年数とメンテナンス周期としての耐用年数の2つを表しています。
もしあなたがコスパに優れた長持ちする外壁塗装をしたい場合は、予算を考慮しつつできるだけ耐用年数の長い塗料を選びましょう。
さらに、外壁塗装のタイミングは住宅に使用している外壁材の種類によっても変わってきます。
住宅の劣化状況を見極め、適正なタイミングで外壁塗装を行いましょう。
外壁塗装ソーラーパートナーズへご相談いただければ、ご自宅の立地や気候環境に最適な外壁塗装をご提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。